★ 農林水産省から


「単体飼料用丸粒とうもろこし」 に係る
関税割当制度について  

 (農林水産省畜産局 流通飼料課 課長補佐 迫田 潔) 


 
 
は じ め に

  畜産物需要が総じて横這いで推移している中で、 牛肉自由化に引き続き一昨年
にはガット・ウルグァイ・ラウンドの合意がなされ、 畜産を取り巻く情勢は、 極
めて厳しいものがある。 
 
  このような状況下において、 国内畜産に維持・発展を図っていくためには、 畜
産物生産費の低減が極めて重要であり、 とりわけ、 畜産物生産コストの大きな部
分を占める流通飼料の供給コストの低減が不可欠となっている。 
 
  このための手法の一つとして、 飼料の供給ソースの多元化を通じて、 畜産農家
の自由な裁量の下に生産できる自家配合用飼料の主原料となる丸粒とうもろこし
が畜産農家へ直接流通できる仕組みが必要と考えられることから、 今回の 「単体
飼料用丸粒とうもろこし」 に係る関税割当制度の創設を行ったところである。 


とうもろこしの輸入制度

 現在、 配合飼料の主原料であるとうもろこしは、 飼料の低廉かつ安定的供給を
図るために、 関税定率法に基づき税関長の承認を受けた配合飼料製造工場  (承
認工場) において一定の規格を満たす配合飼料に使用されるものについては免税
での輸入が可能となっている。 
 
  一方、 単体飼料用については、 従来から引き続き関税暫定措置法に基づく関税
割当制度により、 加熱圧ぺん加工を条件として無税で輸入することができる。 加
熱圧ぺんを割当ての条件としているのは、 家畜への飼料効率を高める効果とコー
ンスターチ用等飼料以外への横流しを防止する効果の両面の理由がある。 

 
 「単体飼料用丸粒とうもろこし」 の
関税割当制度の仕組みについて

 この制度は、 自家配合飼料用の主原料である丸粒とうもろこしの畜産農家への
供給コストを引下げるため、 農家への流通経路の簡素化を図ることを目的として
いるが、 このためには、 加熱圧ぺんに替わる新たな横流れ防止措置が必要となる。 
 そこで この項では、 具体的な関税割当の仕組みについての 「関税割当公表」 
と、 横流れ防止措置に係る 「単体飼料用丸粒とうもろこしの用途認定要領」 (7
畜B第399号、 平成7年4月1日付け) からその要点を紹介する。 

(1) 関税割当公表 「とうもろこしの関税割当について」
 
@ 割当の時期

 割当は、 4月と10月の2回が基本となるが、 平成7年度上期については、 本制
度が創設されたばかりであり、 期間途中の割当希望に対応するため、 7月上旬に
2次公表による追加割当を行うこととしている (手続きについては、 そのつど関
税割当公表で定めている)。
 
A 関税割当申請者の資格

 割当の申請ができる者は、 割当を受けたとうもろこしを、 飼料として農家に直
接販売するか (農家がとうもろこしを直接又は委託により取引を行う場合に限る
)、 又は飼料として自ら使用する者で畜産局長が適当と認めるもの。 

B 割当申請書に添付すべき書類

・とうもろこしの農家別販売 (使用) 計画数量
・申請者が自己の負担により畜産局長が定めるところにより(財)日本穀物検定
  協会の認定を受ける旨の誓約書
・割当を受けたとうもろこしを、 割当を受けた用途(この場合飼料用)にのみ使用
  又は販売する旨の誓約書

C 割当基準
 
  販売 (使用) 計画数量 (農家毎の購入希望数量の合計) を基本として割当てる。 

D 関税割当を受けた者 (以下「関税割当者」という。)が法令に違反した場合(飼料
  用以外の目的に横流しした場合) には、 関税割当証明書の発給を行わない。
 
E 報 告

 畜産局長に対し、 毎月の販売 (使用) 実績数量を報告する。 


(2) 「単体飼料用丸粒とうもろこしの用途認定要領」 について

 この制度については、 丸粒とうもろこしがコーンスターチ等の飼料以外の横流し
を厳に防止する必要がある。 このため単体飼料用丸粒とうもろこしが適正に畜産農
家に引き渡されたことを確認するために、(財)日本穀物検定協会(穀検)による認定
を行うこととしている。 要領は、 この内容について定めたものである。
 
@ 目 的

 単体飼料用丸粒とうもろこしを適正に引き渡し、 又は、 運送したことの認定を行
う。 

A 引渡に係る認定

・認定は、 関税割当者が畜産経営者にとうもろこしを引き渡す毎に行う。 
・関税割当者は、 前月の10日までに穀検に翌月分の認定依頼を行う。 
・穀検の認定員は、 引渡先、 引渡数量及び運送車の表示について確認を行う。 
・穀検の認定員は引渡に係る認定を行ったときは運送車に封印を行い、 封印は畜産
 経営者の農場内に到着するまで解除してはならない。 
・単体飼料用丸粒とうもろこしは畜産経営者から共同利用施設に持ち出される場合
 においても、 いったん畜産経営者の農場内に搬入されなければならない。 
・認定料は関税割当者の負担とする。 

B 運送に係る認定について

・認定は、 年2回不定期に行う。 
・穀検の認定員は、 認定当日に畜産経営者に連絡を行い、 畜産経営者は認定員によ
  る認定を得ないまま運送車の封印を解除してはならない。 
・穀検の認定員は、 運送車の封印及び表示について確認を行う。 
・認定料は畜産経営者の負担とする。 
 
 なお、 単体飼料用丸粒とうもろこしの関税割当制度は、 関税暫定措置法に基づく
制度であり、 関税割当者及び畜産経営者は受入年月日、 受入先、 規格、 受入数量、 
販売年月日、 販売数量、 使用数量等を記載した帳簿を備えることが義務付けられて
おり、 税関長は必要があると認めるときは単体飼料用丸粒とうもろこしの使用及び
業務に関する状況について提出を求めることができることとされている。 
  
 

実際の対応について

 この制度は本年の4月に創設されたばかりであり、 関税割当制度自体が、 畜産経
営者にとっては馴染みの薄いものであり、 実際にこの制度を利用したいという希望
がある場合には、 農林水産省畜産局流通飼料課需給班に問い合わせしていただきた
い。 
 なお、 「単体飼料用丸粒とうもろこしの用途認定要領」 については、 各農政局、都
道府県に配布してあり、 参考にしていただきたい。 


問い合わせ先
 
〒100 東京都千代田区霞が関1−2−1
TEL (03) 3502−8111(代)
農林水産省畜産局 流通飼料課 需給班
     

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