◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

日本初、 泌乳牛の十二指腸に管をつけアミノ酸を分析

(北海道 田中 義春)

  北海道立新得畜産試験場で、 左の腹に大きな穴をあけ右腹部後方には細い
管をつけた乳牛が飼われている。 左の直径10cmの穴は、 ルーメン (第一胃) 
内の発酵物をみるためのもので、 乳牛の能力試験を行う他の試験研究機関で
も見られるものだが、 右の肋骨下2cmの管が注目されている。 

 これは、 乳牛の栄養管理が進歩し、 たんぱく質をさらに細かく研究する必
要が生じ、 その試験研究のため十二指腸に管をつけたもの。 今まで、 多くの
研究機関では泌乳牛は、 搾乳があって維持管理が難しいため、 乾乳牛や育成
牛を対象に試験をしていた。 
 
  新得畜産試験場では、 より良いデータを得るため、 日本で初めて搾乳予定
の乳牛4頭を対象として試験を行うことにした。 全身麻酔をかけ、 カニュー
レという柔らかいT字型の管を埋め込む手術を3月に終えた牛は6月から順
次子牛を産み、 8月から飼養試験ができる状態になった。 

 これから、 エサの種類を変えてルーメン内の発酵状態を確認しながら、 腹
部の管から消化管内の液を取り出し、 メチオニンやリジンなどの小腸に供給
されるアミノ酸について分析する。 この試験で、 バイパスたんぱくについて
、 アミノ酸レベルまで明らかになり、 よりきめ細かな飼料計算が可能になる
のでは、 と期待が大きい。  

    

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