◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

「週休酪農への挑戦」

(愛知県 森下 忠)

  酪農家のゆとり確保を目的として、 各地で酪農ヘルパー組織が作られてい
る。 愛知県半田市のみどり牛乳農業協同組合でのヘルパー制度の歴史は古く
、 昭和52年に半田市酪農組合が導入したのが最初である。 その後、 みどり牛
乳農協管内には合計で、 4つのヘルパー利用組合が作られ、 組合員の約70%
が利用している。 
 
  現在、 半田市酪農ヘルパー利用組合には、 48人 (半田市酪農組合の9割) 
が加入している。 ヘルパーは常時8〜9名で、 通常2人1組単位で業務を行
う。 半田市は乳肉複合経営が盛んな地域で、 ほとんどの農家が乳牛・肉牛合
わせて100頭以上を飼養しているため、 飼養頭数規模に応じて1回の派遣組
数を増やし、 大規模農家には4〜5名を派遣できる体制にある。 毎日2〜3
組が半田市内を巡回しており、 農家は2週間に1回程度の休日を確保してい
る。 また、 市町をまたがったフリーのヘルパー組織もあり、 この組織に加入
している酪農家では毎週休日を取ることも可能である。 

 こういった背景には、 規模拡大による経営強化、 飼料の共同配合による飼
料調製作業の撤廃、 作業の効率化、 組合組織の強化などがあげられる。 今年
から半田市酪農では、 「家族の日」 を制定してヘルパー利用による連休制も
計画しており、 より積極的な休日確保を推奨している。 

 また、 半田市内の40才以下の酪農家は14人で、 全組合員の約3割にあたる。 
他にも就農前の3名が酪農の予行演習にヘルパーとして活躍中である。 この
地域で後継者が多いのは、 活力ある産地作りと、 定期的な休日のある酪農経
営の成果だと考えられる。 後継者を確保できる酪農経営とするためには、 何
よりも魅力のある経営にすることが大切である。 

    

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