◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

シバ草地利用による肉用繁殖牛の放牧

(愛媛県 今井 士郎)

  愛媛県東宇和郡城川町には、 県内で唯一のシバを利用した肉用繁殖牛の放
牧場がある。 従来、 四国での畜産用シバ草地は、 高知県で造成技術の開発さ
れ普及してきたが、 最近、 またシバ草地の利用が見直されている。 
 
  シバ草地は、 岩本芝草地利用組合が管理しており、 標高約500m、 面積約2.5
ha (北側斜面を一部含み、 傾斜度は5〜30度)、 放牧頭数10頭、 管理放牧日
数は年間225日である。 牛は、 昼間のみ放牧し、 夜間は牛舎に呼び戻す。 こ
の放牧場は、 雑木林であったところを、 生産コストの低減、 作業の省力化及
び険しい山地の有効利用を目的として、 平成4年度 「芝草地活用肉用牛放牧
促進モデル事業」 (指定助成対象事業) を利用して造成したものである。 
 
  シバ草地には以下の利点がある。 収量が気象条件や地形に余り左右されな
い。 肥料をまかなくても草地の維持が可能である。 一度定着すれば、 少ない
維持管理費で半永久的に利用できる。 土壌保全効果がある。 景観が美しい。 
特に、 景観の美しさは、 くさい、 きたない、 といったイメージが付きまとう
現代の畜産において非常に大切なテーマである。 

 シバの定着に4〜5年かかり、 苗の移植や定着するまで不食草の刈り払い
には、 大変な労力を払わねばならないが、 シバ草地は、 険しい山地の多い中
山間地に適しており、 新たな資材の投入も必要なく、 定着すれば管理が省力
的で、 環境破壊の心配もない。 現在、 強く言われている 「環境に優しい農業
」、 「ゆとりある農業」 を推進していくために有効である。  

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