豚 肉


豚 肉



12月の生産量 前年同月をやや下回る

 12月の国内生産は、 と畜頭数が161万6千頭 (▲5.5%、 図1)、 生産量も、 と 畜頭数の減少を受けて、 8万5千434トン (▲5.4%、 図2) となった。  平均枝肉重量 (全国平均) は、 75.5kg (0.1%) であった。 これまで、 平均枝 肉重量は、 6年11月から前年を上回って推移してきたが、 12月は前年同月とほぼ 同水準になった。
◇図1:豚肉のと畜頭数◇
◇図2:豚肉の生産量◇

4〜11月の輸入量 前年同期を大幅に上回る

 7年4月から11月までの累計輸入量は、 43万9千362トン (24.5%、 図3) と なった。 月別輸入量は、 10月まで過去3年間を大きく上回って推移し、 特に、 11 月からのSGの発動がほぼ確定と見られた10月は、 需給の範囲を超えた輸入量とな った。
◇図3:豚肉の輸入量(冷蔵・冷凍別)◇
 増加要因の一つとして、 長期的な生産量の減少があげられるが、 輸入量の増加 傾向は、 生産量の減少傾向を上回って推移しており (図4)、 豚肉供給に不安を 持つ業界の思惑が輸入量の急増につながったと見られる。 11月の輸入量は、 輸入 基準価格の引き上げにより、 急減した。
◇図4:豚肉の国別冷蔵品輸入量◇
 12月の調製品等を含むSG算定ベースの輸入量は、 2万8千983トンとなった。

4月〜11月の推定出回り量 前年同期並み

 7年4月から11月までの推定出回り量は、 99万1千228トン (0.4%) であった。  推定出回り量の構成要因の一つである、 家計消費は10月に前年を下回ったもの の、 その他の月は前年割れが続いた6年度を上回って推移した。 また、 加工仕向 肉量は、 6年度に引き続き前年を上回って推移したが、 SGの発動から輸入量が減 少し輸入品価格が上昇し始めた11月に前年を下回った (図5)。
◇図5:豚肉の推定出回り量◇

12月の期末在庫量 輸入品在庫は依然高水準

 12月の推定期末在庫量は、 12万1千853トン (49.3%、 図6) であった。 内訳 は、 国産品在庫が、 1万2千565トン (▲30.3%)、 輸入品在庫は、 10万9千288 トン (71.9%) である。
◇図6:豚肉の推定期末在庫量◇
 国産品在庫は、 生産量の減少を受けて、 前年同月を大幅に下回った。 一方、 高い在庫水準で推移してきた輸入品在庫は、 輸入量が前年同月を大きく下 回ったため、 前月より約1万4千トン減少したものの、 期首在庫が高水準にあっ たことから、 前年同月を大きく上回った。

12月の国産枝肉価格  前年同月をかなり上回る

 12月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 取引頭数の減少や、 輸入品の出回りが 絞られたと見られることから、 448円/kg (8.5%、 図7) となった。
◇図7:豚肉の卸売価格と供給量◇
 1月の卸売価格 (速報値) は451円 (11.1%) となった。 下旬までは、 大きな 需要の伸びがなく弱含みで推移したが、 と畜頭数が前年同月に比べて、 かなり減 少していることもあり、 月平均では前年をかなり大きく上回った。 月末から2月 にかけては、 大雪で出荷に影響が出たことや、 一部の需要者に加工向けの在庫補 充の動きが出てきたこと等から、 需給が引き締まり値は急騰した。  また、 1月の国産豚肉の仲間相場は、 全ての部位で前年同月を上回ったが、 特 に加工用としての需要が高い 「うで」、 「もも」 が冷蔵、 冷凍いずれも前年同月を 大幅に上回った (26.9%〜32.9%)。

12月の輸入豚肉仲間相場 前年同月を総じて上回る

 12月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 全ての部位で前年同月を上回った。 ヒレ は、 台湾産が1, 049円/kgと前月より値を下げたものの、 前年同月をかなり上回 った (10. 2%)。 一方、 米国産は921円と前月より値を上げ、 前年をやや上回った (3.2%)。  特に台湾産もも肉は、 輸入品の出回り量の減少を受けて、 725円 (28.1%) と高 騰した (図8)。
◇図8:輸入豚肉の仲間相場◇
 冷凍品も、 総じて前年同月を上回った。 特に加工向けが中心となる台湾産のう で、 ももは、 品薄感から、 大幅に前年同月を上回った (それぞれ39.7%、 39.8%)。

今月のトピックス


−豚肉処理自動化システムの開発進む−


  (財) 日本食肉生産技術開発センターは、 豚のと畜及び部分肉加工を、 迅速か つ省力的に行うシステムの開発を3割方終了し、 '96食品産業展に展示する。  このシステムは、 1) 省力化、 処理スピードのアップ等作業効率の向上、 2) 細菌汚染を抑制し、 衛生面での品質を向上、 3) 危険で厳しい労働環境の改善、 等を目的としている。  特徴としては、 諸外国の先進事例を参考としながらも、 我が国の食肉流通事情 に、 合うように工夫され、 1) テーブルミートに適合した衛生的処理が可能とな り、 2) ほとんどの部位で、 脱骨が自動化され、 3) 処理スピードは300頭/1 時間と高性能で、 4) 豚肉の品質に関するデータを集計し、 生産者に対して情報 のフイードバックが可能となっている。 最近、 と畜場の整備や、 流通の合理化に更に進んだ取り組みが求められている。 完成後は、 このシステムの導入が進み、 国産豚肉の新鮮さ、 安全性といった品質 面での改善につながれば、 急増している輸入豚肉と差別化を図る上で、 重要な役 割を担うこととなろう。     '96食肉産業展の開催は次のとおり     日 時 2月27日 (火) 〜3月1日 (金)         午前10時〜午後5時 (最終日は4時半)     会 場 東京国際見本市会場 晴海・西館
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