12月の生産量 前年同月をわずかに下回る
12月の生産量は、 4万3千498トン (▲1.0%) であった (図1)。
和牛は、 めすが前年同月並み、 去勢がわずかに下回り、 合計では2万1千363
トン (▲0.3%) であった。 と畜頭数の推移をみると、 元年度以降、 増加傾向に
あったが、 7年7月以降、 前年を下回る月がでてきて、 今年度の累計は前年同期
並みである (図2)。 子牛取引頭数の傾向から、 このまますぐに減少局面に入る
とはみられないが、 これまでの増加傾向から局面が変化しつつあるといえる。
乳牛は、 おすが枝肉重量の増加等から前年同月を3.9%上回ったものの、 めす
がと畜頭数の減少から5.3%下回ったため、 合計では2万1千459トンと前年同月
並みであった。
12月の輸入量 前年同月を大幅に上回る (事業団調べ)
12月の輸入量は、 5万7千トン (約17%) と見込まれる (事業団調べ、 図3)。
内訳は、 冷蔵品が米国からの輸入が増加傾向にあることなどから、 3万4千トン
(約16%)、 冷凍品が2万3千トン (約20%) である。
セーフガードが発動され、 8月から関税が50%に引き上げられている冷凍品の
12月までの輸入量 (SG算定ベース) は23万6千47トンで、 年度のトリガーレベル
との差は約5万4千トンしかない。 4月からの関税引き下げを前に、 今後の輸入
動向が注目される。
事業団の輸入動向調査によると、 1月は4万7千トン (冷蔵品2万5千トン、
冷凍品2万2千トン)、 2月は4万7千トン (冷蔵品2万8千トン、 冷凍品1万9
千トン)、 3月は2月に比べ冷蔵品はかなり増加、 冷凍品は大幅に減少するものと
見込まれる。
12月の推定期末在庫量 前年同月をかなり上回る
12月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を上回り、 合計で8
万9千842トン (8.9%) となった。
12月の国産枝肉卸売価格 2、 3クラスが堅調
12月の省令価格 (東京市場) は、 1, 052円/kg (4.3%) であった (図4)。
去勢和牛のA5は、 景気低迷等から高級牛肉の需要が弱く、 需要期にもかかわ
らず2,433円/kg (▲9.0%) と引き続きふるわなかった。 一方、 和牛の取り扱い
を強化した量販店からの需要に支えられたA3、 A2は好調で、 特にA2は1,120円
/kg (10.3%) とかなり値を上げた (図5) 。
乳用種、 交雑種の去勢牛B3、 B2も、 国産牛肉の取扱いを強化した量販店等の
需要から、 それぞれ前年同月を上回った。
1月の省令価格 (速報値) は、 1,029円/kgであった。
12月の輸入牛肉仲間相場 豪州産反落
12月の豪州産牛肉の仲間相場は、 輸入量が回復するにつれ、 主力の冷蔵品グラ
スフェッド・フルセットが、 564円/kg (▲2.3%) と反落した。
北米産牛肉は、 安定した業務需要に支えられ、 冷凍品ショートプレート (スラ
イスレディ) が381円 (21.7%)、 しゃぶしゃぶ用などとして冬場にも利用されて
いるチャックリブが、 冷蔵品1,224円 (25.6%) などとしっかりした値動きであ
った。
1月に入ってからは、 豪州産冷蔵グラスフェッド・フルセットは続落、 米国産
冷蔵リブアイロールが値を上げた。
12月の黒毛和種の価格 続伸
12月の黒毛和種の取引頭数は、 2万8千609頭 (0.5%) であった。 取引価格
(おす・めす平均) は、 39万2千円 (7.4%) と引き続き値を上げた (図7)。 肉
用牛の分べん頭数からみて、 今後、 取引頭数が前年同月比で大きく増えるとはみ
られず、 取引価格のプラス要因となる。
12月の乳用種の価格 大きく続伸
12月のホルスタイン種の取引価格 (おす・めす平均) は、 9万2千円 (73.6%)
と大きく続伸した。 乳用種ヌレ子の取引価格は、 4万3千円 (▲15.7%) と前年
同月を下回っているものの、 9月の2万8千円を底に上昇に転じている (図8)。
交雑種 (F1) の取引価格 (おす・めす平均) も、 19万8千円 (42.2%) と引
き続き前年同月を大幅に上回っている。
−取引頭数、 価格ともに上昇するF1子牛−
交雑種 (F1) 子牛の取引が活況を呈している。 取引頭数が大きく増えている
にもかかわらず、 価格は前年を大幅に上回って推移している。 この背景には、 枝
肉価格の下げ幅が縮小し、 昨年夏以降、 対前年同月比100%を上回る月が多くな
り、 肥育経営の導入意欲が強まっていることなどがあるとみられる。
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