◎地域便り


「牛の実用化技術研究会」 開催

愛知県 原田英雄

 12月6日、 愛知郡長久手町の県農業総合試験場で、 第20回牛の実用化技術研究

会が開催された。 この実用化技術研究会は試験場で研究された成果を県内の農業

改良普及センターを始め、 県関係機関、 農業団体、 農民に直接発表するもので、 

1976年から毎年開催されている。 当日のテーマは、 「粗飼料の違いが産乳性に及ぼ

す影響」 「乳用種去勢の鉄分投与による肉色への影響」 「家畜に使用した市販脱臭

資材の効果」 の3つで、 県内各地から関係者75名が参加した。 



  「粗飼料の違いが産乳性に及ぼす影響」 では、 酪農家が実際に毎日使用してい

る粗飼料の使用上のポイントを検討したもので、 チモシー乾草、 アルファルファ

乾草、 トウモロコシサイレージの性格的違いと産乳性の関係を明らかにしたもの

である。 県内では粗飼料の自給率が年々低下し、 輸入粗飼料の利用が増加してい

る。 飼料用トウモロコシを積極的に栽培し、 輸入乾草も利用しながら高泌乳を得

ていく方向性がこの中で示唆された。 



  「乳用種去勢の鉄分投与による肉色への影響」 の研究は、 県内の一部地域で地

下水に鉄分が多く含まれ、 これが肉牛の肉質に著しく影響を及ぼしているのでは

ないかという懸念から取り上げられた。 この結果では水質基準の5倍程度の鉄分

では肉牛の肉質への影響はないことが実証された。 この種の研究は世界でも類を

見ないものである。 



  「家畜に使用した市販脱臭資材の効果」 では、 種々の市販脱臭資材を豚に飼料

添加した場合と豚ふんに散布した場合の効果を明らかにしたものである。 その結

果、 発生するアンモニアに対しては抑制効果はみられたが、 臭いの大きな要素と

なる低級脂肪酸の抑制には効果はみられなかった。 



 いずれの発表も時宜を得た内容であり、 参加者の興味を大いに引きつけた。 


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