◎地域便り


放牧で一年一産を

愛媛県 久保田英和

 愛媛県西宇和郡瀬戸町の高茂 (こうも) 牧場は、 日本一細長い半島 「佐田岬半

島」 の中心に位置し、 放牧地約18haで、 草種は乾燥した佐田岬半島に適している

バヒアグラスである。 バヒアグラスの放牧場としては、 日本でも最大級の面積を

有する放牧場である。 



 佐田岬は、 宇和海と伊予灘の両方を見渡せるマリンレジャーや海の幸を思う存

分楽しめるスポットである。 半島を通る国道は、 岬を渡る風が耳に心地よいメロ

ディーになることからメロディーラインと名付けられている。 ふと車を止めたく

なる場所も多く、 その中の一つとして高茂牧場がある。 

 20年前の造成時はひどい荒れ地で 「本当に放牧場になるのか」 と疑問を持つ人

もたくさんいたが、 今では青い海と緑の草地のコントラストがすばらしい景観の

牧場となっている。 



 同牧場は、 高茂牧場放牧組合 (4戸で構成、 黒毛和種繁殖牛95頭、 肥育牛200

頭) の構成員になっており、 95頭の繁殖牛の飼養管理を春から秋にかけて放牧主

体で行っている。 放牧期には、 朝、 晩2回の発情確認などの巡回を実施し分娩も

放牧地で自然分娩をさせている。 「放牧牛は、 舎飼いの牛に比べて気質が穏やか

であり、 肢蹄が強く、 粗飼料の採食性が良く、 強健性で優れている」 という農家

の意見のとおり、 一年一産で連産性も高く、 好成績を上げている。 



 それと同時に、 すばらしい景観の中で消費者と一緒に高茂牧場バーベキュー大

会を開くなど、 交流を図り 「精神的ゆとり」 をモットーに頑張っている。 今後も、 

恵まれた自然環境を生かした畜産経営を目指している。 




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