牛 肉・肉用子牛


牛 肉



11月の生産量 前年同月をやや下回る

 11月の生産量は、 4万276トン (▲3.4%) と前年同月をやや下回った (図1)。
◇図1:牛肉の生産量◇
 和牛は、 めす、 去勢ともにそれぞれ前年同月を下回り、 合計では1万7千791ト ン (▲1.8%) とわずかに下回った。 乳牛は、 おすが枝肉重量の増加等から前年同月をわずかに上回ったものの (2.0 %)、 めすがと畜頭数の減少から前年同月をかなりの程度下回ったため、 合計では 2万1千915トン (▲2.8%) とわずかに下回った。  乳めすのと畜頭数は、 経産牛飼養頭数が減少している中で、 今年度の生乳計画 生産目標が102.8%と増産設定され、 搾乳牛の供用期間が伸びているとみられる ことから、 前年に比べてかなり減少している。 (4〜11月累計▲8.7%)

11月の輸入量 前年同月をわずかに上回る

 11月の輸入量は、 5万9千757トン (2.9%) と前年同月をわずかに上回った (図2)。
◇図2:牛肉の輸入量(冷蔵・冷凍別)◇
 米国産は、 冷凍品が減ったものの、 冬の季節需要からチャックロールなどを中 心に冷蔵品の輸入が増え、 合計で2万8千31トン (10.1%) と前年同月をかなり 上回った。  豪州産は、 9月下旬から10月にかけて操業を停止していた大手パッカーが、 操 業を再開したことから、 10月に比べ輸入量は増えたものの、 2万9千589トン (▲3.3%) と前年同月をやや下回った。  冷蔵品の輸入量 (SG算定ベース) は3万3千612トン、 4月からの累計輸入量 は25万4千774トンとなった。 トリガーレベルとの差は約4万9千トンで、 第3 四半期のセーフガードの発動はほぼないものとみられる。  事業団の品目別輸入動向調査によると、 12月の輸入数量は5万7千トン (冷蔵 品3万4千トン、 冷凍品2万3千トン)、 1月は4万7千トン (冷蔵品2万6千 トン、 冷凍品2万1千トン)、 2月は冷蔵品は1月に比べかなり増加、 逆に冷凍 品はかなり減少すると見込まれる。

11月の推定期末在庫量 増加傾向

 11月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を上回り、 合計で9 万5千693トン (3.4%) と7月以降引き続き9万トンを超え、 増加傾向にある。  11月の推定出回り量は、 国産品は前年同月をわずかに下回ったものの、 輸入品 がかなり上回り、 合計では9万7千866トン (3.4%) とやや上回った (図3)。
◇図3:牛肉の出回り量◇

11月の国産枝肉卸売価格 2、 3クラスが堅調

 11月の省令価格 (東京市場) は、 1,079円/kg (5.2%) と4月以来久し振りに 前年同月をやや上回った (図4)。
◇図4:牛肉の卸売価格(東京・省令)◇
 去勢和牛のA5は、 景気低迷等から高級牛肉の需要が弱く、 2,439円/kg (▲5.2%) と引き続き前年同月を下回った。 一方、 和牛の取り扱いを強化した量 販店の需要が強いA3、 A2は、 それぞれ、 1,525円/kg (2.8%)、 1,180円/kg (13.2%) と前年同月を上回った (図5)。
◇図5:牛肉の卸売価格(規格別・東京)◇
 乳用種去勢牛のB3、 B2は、 値頃感から見直され、 それぞれ、 942円/kg (9.7%)、 689円/kg (13.0%) と前年同月をかなり上回った。  12月の省令価格 (速報値) は、 1,073円/kgであった。

11月の輸入牛肉仲間相場 輸入減で豪州産反発

 11月の豪州産牛肉の仲間相場は、 現地パッカーの操業停止で輸入量が絞られ、 主力の冷蔵品グラスフェッド・フルセットが598円/kgと続伸し、 わずかながら も前年同月を上回った (1.0%)。 需要期を迎えたチャックロールも、 699円/ kg (2.6%) と前月より151円も値を上げた (図6)。
◇図6:輸入牛肉の仲間相場◇
 北米産牛肉は、 安定した業務需要に支えられた冷凍品ショートプレート (ス ライスレディ) が391円 (21.1%) と大幅に値を上げた。 焼肉用としてでなく、 しゃぶしゃぶ用としても利用されているチャックリブは、 冷凍品1,058円 (49.2%)、 冷蔵品1, 104円 (25.3%) と、 夏場よりは値を下げているものの、 引き続き前年同月の水準を大幅に上回っている。  12月に入ってからは、 豪州産は輸入量の回復につれて値を下げる品目が多く、 逆に米国産冷蔵品は全ての品目が値を上げた。

肉用子牛


11月の黒毛和種の価格 おすは41万円台に

 11月の黒毛和種の取引頭数は、 3万5千436頭 (▲0.5%) と前年同月をわず かに下回った。 取引価格 (おす・めす平均) は、 38万1千円 (8.5%) と前年同 月をかなり上回った (図7)。 特におすは41万1千円と3か月続けて40万円台に 乗せた。
◇図7:肉用子牛(黒下和種)の価格と取引頭数◇
 11月の主要市場の取引価格は、 岩手県中央家畜市場 40万4千円 (24.3%)、 宮崎県都城地域家畜市場 39万8千円 (1.0%)、 鹿児島県曽於郡中央家畜市場 36万6千円 (10.2%) といずれも前年同月を上回った。

11月の乳用種の価格 前年同月を大幅に上回る

 11月の乳用種 (ホルスタイン種) の取引価格 (おす・めす平均) は、 8万8 千円 (63.0%) と前年同月を大幅に上回った。 乳用種ヌレ子の取引価格は、 3 万5千円 (28.6%) と前年同月を大幅に下回った (図8)。
◇図8:肉用子牛(ホルスタイン種、F1)の価格◇
 また、 交雑種 (F1) の取引価格 (おす・めす平均) も、 18万8千円 (36.1%) と引き続き前年同月を大幅に上回っている。

今月のトピックス


−大きく値を上げている乳子牛−


 乳子牛 (ホルスタイン種) が9月以降、 大きく値を上げている。 その要因とし て、 次のようなことが考えられる。 ・量販店の国産牛肉の販売戦略の見直し、 Jビーフキャンペーン効果、 値頃感など から、 枝肉市場では和牛の2、 3クラス、 交雑種、 乳用種に需要が集まっている。 東京市場・乳用種B2の価格は11月、 12月とも前年同月をかなり上回り、 堅調であ る。 ・乳用牛の飼養頭数が減少傾向にあること、 交雑種 (F1) の生産が進み、 乳子牛 の生産頭数がその分減少しているとみられることなどから、 市場取引頭数が大き く減少し、 肥育経営に乳子牛の 「品薄感」 が強まっている。
◇グラフ:乳子牛の取引動向◇

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