● 3月の生産量
前年同月をかなり大きく下回る
3月の国内生産は、 と畜頭数が139万1千頭 (▲11. 8%) と減少し、 生産量も、
と畜頭数の減少を受けて、 7万2千570トン (▲12. 6%、 図1) となった。
と畜頭数は、 6年6月以降前年同月を下回って推移している。 国産枝肉相場の
高騰から、 2月に前倒しで出荷された肥育豚が多く、 3月はその分出荷が減少し
たと見られ、 前年同月をかなり大きく下回った。
平均枝肉重量 (全国平均) は、 74. 5kg (▲0. 9%、 図2) と、 3カ月連続し
て前年同月を下回った。
農林水産省畜産局食肉鶏卵課の出荷予測によると、 4月のと畜頭数は142万頭
と前年同月を1%程度下回ると見込まれている。
● 3月の輸入量
前年同月の約半分となる
3月の輸入量は、 1万9千737トン (▲51. 9%、 図3) となった。 内訳は、 冷
蔵品が1万986トン (▲21. 9%)、 冷凍品は8千749トン (▲67. 5%) である。
11月のSG発動以降、 テーブルミート向けの需要が高い冷蔵品の輸入量は、 前年
同月をマイナス7%〜プラス7%の水準で推移してきたが、 4月から基準輸入価
格が20. 9%引き下げられることもあり、 輸入量は極端に減少した。
また、 加工向けの需要が高い冷凍品も、 依然前年を大きく下回って推移してい
る。
国別では、 従来から冷蔵品の輸入割合が高く、 対日輸出体制を整えてきた米国
が、 SG発動後も冷蔵品の輸入を大幅に伸ばしてきた。 しかし、 3月は冷蔵品がわ
ずかに、 冷凍品は大幅に、 いずれも前年を下回り、 全体では14. 6%減とかなり
大きく下回った。
また、 冷凍品の輸入割合が高い台湾も、 1月に比べて冷蔵、 冷凍いずれも大幅
に減少し、 輸入量全体では前年を53. 9%下回る水準となった (図4)。
なお、 SG算定ベースの7年度累計輸入量は、 536, 547トンと発動基準数量を約
3万トン下回り、 8年度第1四半期中のSG発動はなかった。
● 3月の推定出回り量
前年同月をかなり下回る
3月の推定出回り量は、 11万6千18トン (▲8. 2%、 図5) となった。 内訳は、
国産品が7万3千592トン (▲12. 1%)、 輸入品が4万2千426トン (▲0. 5%)
である。
国産品は、 7年6月以降、 前年同月を下回って推移しており、 3月も、 生産量
の大きな減少を受けて前年をかなり大きく下回った。
一方、 輸入品は、 輸入量減少による在庫の取り崩しが進んだこと等から、 前年
同月をわずかに下回った。
● 3月の期末在庫量
未通関在庫は積増しが進む
3月の推定期末在庫量は、 6万9千178トン (▲19. 4%、 図6) となった。 内
訳は、 国産品が、 1万630トン (▲40. 0%)、 輸入品は、 5万8千548トン (▲14.
1%) である。
国産品は、 生産量の減少を受けて、 前年同月を大幅に下回った。 一方、 高い在
庫水準で推移してきた輸入品は、 輸入量の減少から、 10月をピークに在庫の取り
崩しが進み、 2月末に比べて約2万3千トン減少し、 前年同月をかなり大きく下
回った。
なお、 未通関在庫は、 4月からの基準輸入価格の引き下げをにらんだ、 在庫の
積増しが進み、 4万1千875トン (654. 5%、 図7) と大きくふくらんだ。
● 3月の国産枝肉価格
生産減から前年同月をかなり上回る
3月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 479円/kg (8. 1%) となった (図8)。
3月中旬から月末にかけては、 決算期を迎え、 在庫の整理が進み、 また、 末端で
の引き合いも弱くなったとみられ、 相場は弱含みで推移した。 しかし、 月平均で
は生産量が減少したこともあって前年同月をかなり上回った。
4月の卸売価格 (速報値) は、 556円 (17. 1%) となった。 3月末から4月中
旬まで、 1日当たりのと畜頭数がほぼ6万頭台で推移する等、 生産は依然少なく、
また輸入冷蔵品の末端への流通量が十分でないと見られることから、 堅調に値を
上げた。
3月の国産豚肉の仲間相場は、 特に、 加工用としての需要が高い 「うで」、 「も
も」 が、 冷蔵、 冷凍いずれも前年同月を大幅に上回った (16. 3%〜30. 5%、 図
9)。 その他の部位も枝肉相場の高値を反映して、 前年同月を大きく上回った。
● 3月の輸入豚肉仲間相場
総じて前年同月を上回る
3月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 輸入量の減少や、 米国の原産地相場が強
含んでいること等から、 全ての部位で前年同月を上回った。 テーブルミート需要
が強いと見られる米国産ロースは、 840円/kg (14. 9%、 図10) と前月と同じ価
格になったが、 台湾産は、 866円 (9. 0%)と前月より31円値を下げた。 この他、
高値が続いていた台湾産もも肉は、 690円 (25. 6%) と36円値を下げた。
冷凍品も、 総じて前年同月を上回った。 特に加工向けが中心となる台湾産の
「うで」、 「もも」 は、 品薄感から依然、 前年同月を大幅に上回って (それぞれ22.
4%、 30. 3%、 図11) 推移しているが、 冷蔵品同様、 一時の堅調感はなくなった。
8年度上期の豚出荷予測
農林水産省畜産局食肉鶏卵課は、 8年度上期の豚出荷頭数が前年をわずかな
いし、 やや下回ると予測した (表1)。 豚のと畜頭数は、 繁殖豚の減少に加え、
6年夏以降に猛暑の影響を受けたことから、 生産量は急激に減少し、 前年を大き
く下回って推移してきた。 しかし、 ようやくと畜頭数の減少に歯止めがかかりつ
つあると見られる (図12)。
今冬、 特に豚の主産地である南九州を中心として、 PED (豚流行性下痢) が発
生し、 4月15日までに死亡・廃用となった子豚が3万1千頭台になる等 (表2)、
関係者の間では、 夏場以降に出荷が極端に減少すると見られて来た。
しかしながら、 南九州地区においては、 最近の堅調な枝肉相場を反映して、 昨
年に比べて、 繁殖豚を増やしている県も見られ、 これが大きな減少をくい止める
結果となった様だ。
最近の豚肉消費動向をみると、 量的には大きな伸びが期待出来ないものの、 消
費者ニーズは、 おいしさ、 安全性等、 質へのこだわりが出てきたと言える。
このためにも、 消費者のニーズにあった、 国産豚肉の生産量を確保し、 同時に
衛生面にも力を入れていく必要があろう。
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