◎地域便り


特産品は 「青い卵」

群馬県/要田 裕子


 平成8年6月、  「青い卵」 を産む鶏・アローカナの飼育が、 群馬県邑楽 (おう
ら) 郡邑楽町で始まった。 

 アローカナは南米チリ産の鶏で、 世界で唯一、 青い卵を産む珍しい鶏である。 
羽は褐色をしており、 ほおに髭があるのが特徴。 また、 卵は殻が青く、 黄身が鶏
卵と比べるとやや大きい。 群馬県では 「特色ある卵を生産すれば、 地域おこしに
役立つのではないか」 と数年前から県の畜産試験場で飼育に取り組んできた。 

 このアローカナの飼育を始めたのは、 邑楽町内の農家、 諸井正男さん(64)を
組合長とする高島元気たまご生産組合 (3名) 。 組合では、 平成8年度から実施
されている県の 「元気たまごの里づくり事業」 により、 放し飼いによる養鶏を始
めた。 この事業は遊休農地の有効活用や高齢者等の蓄積された知識・経験及び技
術を活用することなどをねらって行われている。 

 諸井さんらは、 1,223平方メートルの遊休農地をネットフェンスで囲い放
飼場にして、 場内にプレハブ鶏舎3棟を設置した。 6月から青い卵を産むアロー
カナ120羽、 赤い卵を産むネラ200羽などを飼育しはじめた。 ネラの羽は黒
褐色でその卵は普通卵より味が濃厚といわれている。 広い土地に放し飼いにされ
た鶏たちは順調に卵を産み始め、 7月上旬から卵の販売が始められた。 

 産まれた卵は、ネット詰めにして、 放飼場の隣に設置した自動販売機 (1台)で
一般に販売している。 1ネット6個入り、 300円で購入できる産みたての青い
卵は大変好評で、 1日に青い卵だけで30ネット売れる日もあるという。 邑楽町
内にある町営の農産物等の直販所にも、 週末にはわざわざ青い卵を買いに来る人
もいるほど。 今の羽数では現状で精一杯だが、  「もっとたくさん売ってほしい」 
という声もあり、 生産組合としては、 うれしい悲鳴といったところだ。 
【南米チリ生まれの「アローカナ」と青い卵(手前2列の卵)】

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