◎地域便り


自動給餌機で経営意欲が向上

長野県/神戸 (かんべ)  吉市
 長野県上伊那郡は、 中央アルプスと南アルプスに囲まれた、 伸びやかな広がり
をもつ平である。 ことに、 西面のなだらかな丘陵地帯を中心に、 県下有数の酪農
地帯が展開されている。 

 上伊那地区の乳用牛飼養頭数は7, 630頭、 飼養戸数は240戸である。 

 ここ数年ほぼ50頭規模の酪農家に濃厚飼料自動給餌機を導入するものが増え
てきた。 平成7年に5戸、 平成8年には11戸と増加し、 平成9年では14戸を
数えるようになった。 

 今年7月、 酪農家、 畜産関係機関を集めて研究推進会議を上伊那郡農業改良普
及センターで開催した。 

 会議の中で、 ある11戸の農家群を対象とした産乳・繁殖成績などに関する調
査の結果が報告された。 これによると、 平成6年には搾乳牛1頭当たりの乳量7, 
500kgから8, 000kgの間に72. 7%の農家 (8戸) が入っていたもの
が平成8年の調査では8,000kgから9,500kgの間に72.7%の農家が
入るようになってきた。 この農家群の中で、 自動給餌機の導入農家数は平成6年
の1戸から、 平成8年には6戸に拡大していた。 また、 乳量の増加は明らかに認
められたが、 乳脂肪の低下は見られず、 無脂固形分についてはむしろ増加傾向が
見られた。 体細胞数、 細菌数については、 年次を追う毎に減少していき、 乳質の
改善が認められた。 一方、 繁殖成績では明らかな傾向は認められず、 家畜共済の
データからも疾病の増加はなかった。 

 多回給餌は、 乳量の増加を図るための一方法であるが、 手作業では大変な労力
となる。 そこで、 自動給餌機の導入によって大幅な省力化が図られ、 空いた時間
を個体管理に充てることができる。 

 こうしたメリットが生かされれば自動給餌機の導入は、 経営改善の有効な手段
の一つと考えられる。 


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