鳥取県/山崎 和夫
UR合意以来、 畜産経営を巡る情勢が混とんとしている中で、 規模拡大、 産直・ 直売、 低コスト化など様々な対応が模索 (さく) されている。 鳥取県中部の畜産の町東伯郡東伯町、 中国地方の最高峰の東側裾野に当たる元 (もと) 開拓地大成 (おおなる) の尾崎忍(しのぶ) さん (60歳) はパン屑、 酒 粕などのリサイクル飼料で、 普通の肉豚生産に比べ3割弱のコスト減を実現して いる。 太平洋戦争後入植していた実兄の経営を25年前に継承、 2haにも及ぶナシ作 りと小規模の養豚をやっていたが、 雇用労働に依存するナシ作りが経営困難とな ったため、 規模を縮少して豚を増頭。 子取り雌豚、 常時75頭飼育、 年間1,5 00頭の肉豚を出荷する繁殖肥育一貫経営を確立した。 繁殖も肥育も県下ではトップを行く技術水準で、 豚の改良も進み県共進会で最 優秀賞を受賞するようになった。 しかし、 養豚の収益性は期待したほど上がらな い。 そこで尾崎さんは種々検討を重ね、 その要因は購入飼料代にあると考えた。 平 成元年から関東、 東海地方の先進事例を視察、 試行錯誤の末、 リサイクル飼料中 心の自家配合による給与体系を作り上げた。 今では大阪府、 兵庫県から月4〜5回、 4トントラックで500キロを超える 距離を往復し、 年間350トンものリサイクル飼料を購入している。 配合例を示すと、 パン屑42%、 2種混合22、 グルテンフィード6、 一般フ スマ6、 大豆蛋白 (人工肉) 6、 EM菌入りしめじ粕4、 甘酒粕4、 その他8であ る。 木酢 (さく) 液入り木炭を給与しているので 「ネッカポーク」 のブランド名で 島根県で販売している。 ちなみに飼料単価は自家運賃見積りkg当り4円を加算しても約30円というこ とだ。 リサイクル飼料給与のコツは、 「パソコンによる栄養計算をもとに配合するこ と、 厚脂 (あっし) にならないようエサを雌と雄に分けて給与すること」 と尾崎 さんはその道の 「通」 らしく力強く語っていた。元のページに戻る