鳥取県/山崎 和夫
「とにかく動物が大好きで……」 と語る (有) 菊丸ファームの社長上島孝博さ ん (41) 。 現在肥育牛120頭 (ほとんどF1) 、乳牛15頭、 繁殖和牛10頭 を飼っている。 他に水稲80アールを栽培している。 この経営は全くのゼロからの出発だった。 上島さんは北海道にある酪農学園大 学を卒業後、 帰郷して県畜産農協に勤めた。 11年間農家に牛の管理を指導する 中で牛飼いのノウハウを学んだ後、 平成2年に農協を退職、 独立した。 それ以前の昭和61年、 農協に勤務の傍ら、 鳥取市から12kmほど離れた中山 間地の離農者の牛舎を取得、 2頭の乳子牛を育て始めた。 父、 孝太郎さん (73 才) の援助を得て退職するまでの4年間、 給料やボーナスでぬれ子を買い半年後 に市場で売り、 その収入でぬれ子を買うという繰り返しで増頭を図ってきた。 肥 育を始めてから3年後、 運転資金を確保するために酪農を、 そのさらに3年後に は、 和牛繁殖経営も始めた。 肥育には豆腐粕 (おから) を主体とした自家配合飼料を使っているが、 肉質に 配慮しながらも、 できるだけ低い飼料コストとなるようぎりぎりの配合割合を模 索している。 牛舎のうち乳牛舎1棟は離農した農家から取得したもの。 肥育牛舎3棟は材木 商をしていた父孝太郎さんの手作りで、 古い電柱を柱にするなど徹底して低コス ト化を図っている。 平成7年8月、 優秀な人材を雇用するため、 (有) 菊丸ファームを設立。 経営 規模拡大を狙って昨年から高校と大学卒の女性2名をスタッフとして迎えた。 そ れまでは父と二人だけの経営 (奥さんは会社員) だったが、 牛の世話が好きとい う若い戦力が加わり、 仕事がはかどるだけでなく 「牧場がパッと明るくなった」 と喜んでいる。 女性の手で畜舎内外に花一杯の美化が進められている。 上島さんは 「将来は、 牛肉の生産から販売まで手がけたい。 また畜産にこだわ らず、 有機農法による米や野菜の生産と消費者への直売も考えている」 と語る。 元気のある法人として今後の事業展開が注目されている。
【低コスト化を図り、牛舎も手作り】 |