◎地域便り


地域内での堆肥の有効利用

山梨県/牛山 市左門


 山梨県豊富村は、甲府盆地の南部に位置し、かつては日本を代表する養蚕地帯
(昭和53年度生産額15億円)であったが、現在では、250haのほとんどの桑園は、
野菜や果樹に転換している。また、村の畜産の中心であった養豚も、昭和55年当
時の70数戸から 7 戸へと激減している。
 
このような状況の中で平成元年4月、県立八ヶ岳牧場産黒毛和種繁殖牛16頭が  
3戸に導入され、 1 年 1 産による繁殖経営と子牛生産の実現により、県内産繁
殖牛の定着が見られるようになった。平成6年、畜産農家12戸で、仲間をつくり、
地域住民との相互理解のもとに、豊富村畜産振興協議会が発足した。

 以前から、豊富村の畜産農家では、昭和55年度に畜産複合地域環境対策事業に
より堆肥舎3棟を建設し、連続かくはんした良質発酵堆肥を生産していたが、ほ
とんどを村外に販売していた。

 しかし、桑園跡地の利用として、モモ栽培の体制整備が行われるようになり、
畜産農家から生産される発酵堆肥の村内利用を目指して、平成 9 年 4 月に、豊
富村畜産振興協議会と野菜・果樹等栽培農家の代表(JA豊富青果部代表)とが連
携し、「豊富村土づくり推進協議会」を発足した。

 村内畜産農家から生産される発酵堆肥は年間300tで、2 トンダンプ 1 台分を 
10万 4 千円程度で販売している。

 モモ等果樹栽培農家のほか、野菜農家(ホウレンソウ、ナス等)、水田農家の 
20 期作(スイートコーン)にも利用されており、非常に好評である。

 豊富村では、今後も土作りを通した、畜産農家と果樹・野菜・水田農家の連携
により、活力ある都市近郊農家を育成していくこととしている。また、生産物で
ある果物、野菜や繭工芸品等を村の特産物とし、季節毎のお祭り等を行っており、
「シルクの里」というコンセプトで田園都市づくりに取り組んでいる。



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