長野県/伊藤 達也
八ヶ岳の裾野に広がる標高 730〜 1,200mの高原地帯にある長野県富士見町に 「楽酪ミルク工房」が管理運営する乳製品加工施設が建設された。「楽酪ミルク 工房」は富士見町の酪農家30戸で組織している。会長の和田八十三さん(66)は、 搾乳牛110頭飼養の酪農家である。工場長、衛生管理者等も酪農家が行っている。 加工施設ができた背景は、富士見町は県下でも有数の酪農地帯であり、以前か ら酪農婦人部、生活改善グループ、味の開発研究会などの婦人組織等が乳製品加 工の研究を行っていた。直接、販売には結びついてはいなかったが、ヨーグルト、 アイスクリームなどの乳製品を作り、各種イベントへの参加で酪農のPR活動を しており、施設建設への取り組みの土台となっている。また、町に訪れた方が食 べたり、持ち帰ることができる地場産の商品(加工品)販売の要望も町内外から あった。乳価の低迷や輸入飼料の価格の問題等があり、酪農家としては難しい時 代になってきている。他の酪農地域との競争と地域の酪農の活性化を図る意味も 含めて活動を行っている。 富士見町にある「富士見高原パノラマスキー場」内にある加工施設ではアイス クリーム、ドリンクヨーグルトが作られている。 3 月下旬から町内にある 2 カ 所のスキー場で販売(通年)が開始され、現在では、そのほか農協の各店舗及び 温泉施設等で販売されている。 加工施設で使われている牛乳は地域の酪農家で生産された生乳(400r/日)を 使用している。製品の製造については機械メーカーの紹介で他の乳製品加工施設 で研修を受け、その後は当施設にて商品開発を含めて機械メーカーの指導を受け ている。工場長に製造の苦労を質問したところ、「製造は決まった作業工程を忠 実に行えば難しくはないが、むしろ販売量を増やすのに苦労している」と話して いた。毎日、製造してはいないが、11日の製造量はアイスクリームで1,300個、ド リンクヨーグルトは約400r(製造に2日かかる。)となっている。 富士見町は高原地帯で東が山梨県に接し、中央自動車道のインターチェンジも あり東京都、神奈川県からも1、2 時間の距離にある。このことから観光客が多 く、夏は別荘、ペンションや保養施設等を利用した避暑、冬はスキー場へと年間 を通じて多くの人が訪れている。この立地条件を利用し、積極的に販売していく 予定である。
【30戸の酪農家が共同で経営する「楽酪ミルク工房」】 | ||
【アイスクリームは125p 250円、 ドリンクタイプのヨーグルトは150p 150円、900p 600円】 |