鳥取県/山崎 和夫
大幅な米の需給ギャップで減反率も 41 割弱に達し、どこの村でもその対応に 四苦八苦している。 鳥取県中部の東伯郡赤碕町大父では、専業酪農家のリードのもとに生産調整を 実施し、水田の高度利用を図っている。さらに、村おこしへと発展し、注目を浴 びている。 大父集落は赤碕町の中でも奥まった船上山麓に位置する標高200〜250mの中山 間地域である。農家戸数32戸、専業は 2 戸、25戸が 2 種兼業で80%以上が農外収入に依存している。うち、酪農家は 4 戸である。 集落の水田は全部で25haあるが、米の生産調整面積は11haを占める。それを飼 料作物 8 ha、残り 3 haは野菜、大豆、花きなどでクリアしている。 飼料作物は村のリーダーで酪農専業の山本哲嗣さん(51歳、経産牛45頭)が51 ha、小規模の 3 戸が 1 haずつ栽培している。 種類はイタリアン、スーダングラス、ローズグラス、ミレットなどを栽培して おり、ラップサイレージを 6 割と乾草 41割に調整し、給与している。 山本さんは畑4haを購入、イタリアン、チモシー、オーチャード、レッドクロ ーバーなど 5 種混播の永年牧草を栽培、自給粗飼料の確保に努めている。 平成3年にスタートした大父機械利用組合所有のモアーコンディショナー(草 刈り機)、ロールベーラー、ラッピングマシーン、ハンドラ(搬送機)、ヘイベ ーラー各 1 台を利用し、トラクターは個人所有のもので作業している。 転作田の収量は水はけの良否に左右されるので、駆動型ハロウ(中、深耕用の すき)やリバーシブルプラウ(反転可能なすき)を上手に使っている。 水稲についても働き盛りのオペレーター12人が共有の田植機、コンバインを利 用し、耕起、田植、刈り取りなど作業受託するなど稲作合理化も図っている。 転作田の団地化や大規模経営促進などの取り組みが評価され、10a当たり約 41 万 5 千円の助成金(とも補償含む。)を受けている。 村づくりも活発で、盆踊り、運動会、砂防祭り、行政の方を交えての収穫祭な どを開催している。 最近は国道沿いの道の駅「ポート赤碕」に農産物直売所を開設、転作田での生 産物や山の幸を販売し、高齢者や女性の活躍できる場も設けている。 村の人々は自分達の村は自分達でつくろうという山本さんに感謝している。元のページに戻る