◎地域便り


牛ふんの堆肥コンクール

神奈川県/根本 勝男
 18年前に飼料の自給率向上をねらって発足した神奈川県酪農技術研究会(旧粗
飼料研究会、会員約150名、うち酪農家 8 割の自主的組織)は、その時々の課題
を解決するため、講演会、シンポジウム、現地研修会等を開催している。事務局
は神奈川県畜産研究所にあるが、企画運営は地区代表の酪農家が中心の運営委員
会が行っている。昨年度は、乳牛の後継牛確保対策、持寄りサイレージ共励会を
行った。今年 1月に、最近、流通が進み、品質に対する関心が高まりつつある牛
ふん堆肥について、意識高揚のため持寄りの堆肥コンクールを初めて開催した。

 出品点数は、堆肥を販売している酪農家から31点あった。内訳は、堆積発酵14
点(45%)、ハウスによる発酵乾燥12点、その他5点。

 これらについて、審査基準を設け、化学分析・官能検査及び発芽試験を行い、
評価した。結果については畜産研究所で取りまとめ中だが、化学成分や発芽試験
間には差はあっても、殆どの堆肥が推奨基準をクリアしていた。しかし、官能検
査では臭い、色、形状にかなりの差がみられ、さらにそれぞれの間の関連が深く、
臭いの悪いものは色・形状共に評点が低い傾向にあった。販売上は、この臭い等
が大きく影響するため、発酵処理期間等の技術検討が必要である。

 参加農家の牛ふん堆肥は、量的に見て自家用として、飼料作物等への施用が約 
2 割(平均)で、販売することが一般化している。包装形態は、量的にはバラが
多いが、袋詰めして有利販売している例も多い。直接、耕種農家へ販売するだけ
でなく、自宅前の直販所での販売もある。価格はトン当たり 2 〜 5 千円と幅は
あるが必ずしも品質との関連はみられなかった。

 従来、厄介者であった牛ふんは資源としての利用が増え、年間200万円以上の売
上げ事例もみられる。それには品質管理や袋詰めなど付加価値を高めていく必要
がある。

 牛ふん堆肥の品質評価で難しい点は、利用目的によって未熟から完熟堆肥まで
幅広いため、画一的な評価がしにくい点である。試行錯誤しながら実施している
が、牛ふんの資源としての有効利用のため、利用者にも喜ばれる有益な堆肥コン
クールとして育てていきたい。


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