◎地域便り


草地を基盤に伸びゆく牛飼いグループ

鳥取県/山崎 和夫
 鳥取県中部の「白金の湯」と呼ばれる東伯郡関金町。中山間地とはいえナシ、
シロネギ、ワサビ、畜産と多彩な品目に恵まれた農業どころである。

 岡山県蒜山高原に連なる元開拓地は、なだらかなスロープに肥沃な黒ボク土壌
(中国地方に見られる火山灰土)、交通立地にも恵まれた採草地が広がる。

 しかし、担い手の高齢化、労力不足で遊休地が生じはじめた。これに着目した
地域の畜産農家有志が昭和59年飼料生産組合を結成した。オーチャード、チモシ
ー、イタリアン、レッドクローバーの混播草地を造成、 4 〜 5 年毎に全面耕起
して更新を図るほか、草勢が悪くなったところにはイタリアンの追播をするなど
して維持管理。年 3 回刈りで 1 ha当たり 5〜 6トンの生草をラップサイレージ
として給与、自給飼料の確保に努めている。

 今では草地の貸し借りは農業経営基盤強化促進事業及び農地保有合理化事業を
活用、組合で約15haを借地、草地利用を図っている。

 これに加えて各戸が 3 〜 9 haの草地を持っているので個別・共同分を合わせ
て30haを超す草地を組合で運営管理している。

 組合員は県内でも規模の大きい酪農家  2 戸と肉用牛の繁殖肥育一貫経営 3戸
の計 5 戸である。

 トラクターを各戸が持ち寄る他、共同所有のモアー(草刈り機) 2台、集草機
 1 台、ラッピングマシーン 1 台、ハンドラ(搬送機) 1台で作業を進めている。
作業分担は専門化しているので能率は上々、機械の故障修理はほとんどないとの
ことだ。

 地区の酪農組合長や飼料生産組合のまとめ役にあたる高間一十四さん(50歳、
乳牛・経産牛50頭、育成牛35頭)の献身的な努力を始めとして 5人の能力が集っ
てこその成果である。

 「うちは草地の中央にあるし、経営効率化機械リース事業を活用して自動給餌
機を導入し、息子も就農、パソコン処理もしてくれるので、みんなの世話は朝め
し前です。うちのラップ配分は約700梱包、乳飼比43〜44%というところです」と
エサづくりで日焼けした顔にやる気一杯の語調で力強く語っていた。

 今後は、10a当たり5.6tもの収量をあげ、草の品種改良等を進め、生産量の増
大を図りたいとしている。


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