◎地域便り


良質堆肥生産への取り組み

福岡県/敷田 成太郎


 福岡県では、地域農業改良普及センターの主催で、平成 8年度から、耕種農家
の求める良質堆肥生産の啓発と環境保全型農業の推進を目的に、堆肥共励会を開
いている。 2 月12日に 9 年度の共励会が、県中央部の筑豊地域で開催された。

 共励会には、筑豊地域の酪農、肉用牛農家24戸から30点の自家生産堆肥が出品
された。県飯塚地域農業改良普及センターにおいて、色、材料の形状、におい、手
触りをみる官能検査と水分、EC(電気伝導度)、C/N比(炭素/窒素比)、硝
酸態窒素等の化学分析、種子の発芽試験やミミズ診断による腐熟度判定を行い、
優秀賞 1 点、優良賞 2 点、努力賞 3点が選定された。

 当日は、出品された堆肥の展示と、各堆肥の生産工程の概要と審査結果の一覧
表が配布され、参加者はお互いの堆肥の比較検討や情報交換を行った。

 農家自らが堆肥を簡単に評価できるように「現場でできる堆肥の腐熟度判定法」
の研修と、農水省畜産試験場から講師を招き「良質な堆肥づくりで土づくり」と
題した講演会も行われた。会場は、約80名の出席者で賑わい、堆肥生産への関心
の高さがうかがわれた。

 悪臭や、害虫の発生など、とかくマイナスイメージの多い家畜のふん尿である
が、有効に利用すれば、利用価値の高い有機質肥料となることは、ご承知のとお
りである。

 本県では、今後、活動の輪を広げ、県下全域を対象とした堆肥共励会の開催を
検討するとともに、良質堆肥の生産・流通をこれまでにも増して支援していくこ
ととしている。
堆肥共励会審査基準

1  堆肥官能検査(48点満点)
  ・製品判定、水溶液判定、総合判定

2  化学分析等(37点満点)
  ・水分、C/N比、EC、NO3、ミミズ診断(堆肥をコップに取り、その中
   にシマミミズを4 〜 5匹入れる。アンモニア臭が強いとすぐに死んでしま
   う。24時間後、完熟堆肥だとミミズは元気だが、未熟だと何らかの障害を
   受けている。)

3  発芽試験(15点満点)

元のページに戻る