北海道/小野地 一樹
北海道の根釧地域にある中標津町で、坪当たり約4万円と通常の約半分で、低 コストフリーストール牛舎が建設された。 中標津町は北海道の中でも草地型酪農が盛んな地帯である。酪農経営の環境変 化とともに多頭化傾向にあり、ここで紹介する藤田誠一さん(58)が経営する牧 場も増頭の途中にある。 昭和44年と51年に建設した育成牛舎は、老朽化が進み、近年中に改修工事が必 要な状況にあった。また、牛舎の構造はスタンチョンの対尾式(尻合わせの繋ぎ 飼い牛舎)で、日常の飼料給与などを機械化できず労働効率が悪く、2名の労働 力では賄い切れない状況になっていた。 そこでフリーストール牛舎建設の検討を始めた。飼養方式の変更でフリースト ール牛舎にする場合、旧牛舎とは別に建設するのが一般的だが、藤田農場ではD 型育成舎を再利用し、低コスト化を目指した。 この構想は、後継者の誠さん(30、花嫁募集中)と、中標津農協の長淵係長の 2 人で練り上げた。再利用したD型育成舎は昭和63年に建設したもので、周囲に 増築可能なスペースがあり、この構想が可能となった。 平成 8 年末に完成したフリーストール牛舎は、間口24m、奥行き45m、約340坪 で、搾乳牛用の95ストール(牛床)と、150坪の育成・乾乳牛用のフリーバーン(解 放牛舎)で構成され、中央通路で車を使って給飼をしている。このうち、間口14. 4m、奥行き45m、約200坪がD型育成舎を再利用したもので、総建設費は約1,370万 円、坪当たり約4万円と、新設フリーストール(根釧地域、低コスト型)の坪当 たり約 8 万円の半額で完成した。 飼養頭数は、建設前の経産牛77頭、育成牛82頭が、経産牛約100頭(うち搾乳牛 約90頭)、育成牛約70頭で、ほぼ計画頭数に達している。ミルキングパーラー(搾 乳施設)は平成11年建設予定で、現在、搾乳は旧成牛舎を利用している。 酪農家や関係機関職員のアイデアで様々な低コスト施設の登場が期待される。
【旧育成舎を活用し、坪4万円で190頭のフリーストール牛舎を建設】 |
【給餌車の利用で、作業も合理化】 |