◎地域便り


ソフトクリームで酪農に活気を

富山県/天野 宏志
 「名物にして、酪農に活気を呼び戻すきっかけにしたい」と張り切っているの
は、富山県城端町の酪農家高桑文夫さん(43)。昨年7月、自家産牛乳を使った
ソフトクリームを製造し、同町の桜ヶ池自然公園で売り始めた。

 高桑さんは、開拓団員として入植した父の跡を継いで二代目として、乳牛37頭
と繁殖和牛21頭を飼っている。入植した農家で作った両砺酪農組合も、構成員が
減少し、今では5戸になってしまった。組合のプラントでは「ふたば牛乳」、「草
原牛乳」のブランドで牛乳や低温殺菌牛乳、コーヒー牛乳などを作っているが、
組合には今一つ元気がなかった。高桑さんは、「おいしい牛乳をPRするには、名
物になる乳製品が必要」と、3年間全国各地の名物ソフトクリーム製造元を訪ね
て研究、試作を重ねた。

 そして、公園の売店の一角にソフトクリームの店「ミルキーハウス」を独自に
昨年7月開き、製造を始めた。機器の購入はもちろん、水道設営、動力源の確保
等も独自で行った。店先には、乳牛が育成期に育った町営牧場を紹介する写真な
ども飾っている。

 ソフトクリームは前日に搾った「草原牛乳」を原料とし、牛乳で甘みの調節を
しているので、牛乳の香り、味が濃厚なのにあっさりした味わいと好評だ。冬の
間は販売を休んでいたが、5月に営業を再開した。酪農の傍ら営業していること
から、土曜、日曜と祝日だけの開店だが、隣の福光町でいちご狩りをして立ち寄
る団体客も多い。 5 月末の日曜日は行列ができるほどにぎわっていた。

 桜ヶ池自然公園近くに東海北陸自動車道のサービスエリアを活用したハイウエ
ーオアシスが平成12年度までに建設される。高桑さんは、将来、ここで販売し、
乳製品が城端町の名物と呼ばれるようにしたいと、力強く語ってくれた。


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