富山県/天野 宏志
「名物にして、酪農に活気を呼び戻すきっかけにしたい」と張り切っているの は、富山県城端町の酪農家高桑文夫さん(43)。昨年7月、自家産牛乳を使った ソフトクリームを製造し、同町の桜ヶ池自然公園で売り始めた。 高桑さんは、開拓団員として入植した父の跡を継いで二代目として、乳牛37頭 と繁殖和牛21頭を飼っている。入植した農家で作った両砺酪農組合も、構成員が 減少し、今では5戸になってしまった。組合のプラントでは「ふたば牛乳」、「草 原牛乳」のブランドで牛乳や低温殺菌牛乳、コーヒー牛乳などを作っているが、 組合には今一つ元気がなかった。高桑さんは、「おいしい牛乳をPRするには、名 物になる乳製品が必要」と、3年間全国各地の名物ソフトクリーム製造元を訪ね て研究、試作を重ねた。 そして、公園の売店の一角にソフトクリームの店「ミルキーハウス」を独自に 昨年7月開き、製造を始めた。機器の購入はもちろん、水道設営、動力源の確保 等も独自で行った。店先には、乳牛が育成期に育った町営牧場を紹介する写真な ども飾っている。 ソフトクリームは前日に搾った「草原牛乳」を原料とし、牛乳で甘みの調節を しているので、牛乳の香り、味が濃厚なのにあっさりした味わいと好評だ。冬の 間は販売を休んでいたが、5月に営業を再開した。酪農の傍ら営業していること から、土曜、日曜と祝日だけの開店だが、隣の福光町でいちご狩りをして立ち寄 る団体客も多い。 5 月末の日曜日は行列ができるほどにぎわっていた。 桜ヶ池自然公園近くに東海北陸自動車道のサービスエリアを活用したハイウエ ーオアシスが平成12年度までに建設される。高桑さんは、将来、ここで販売し、 乳製品が城端町の名物と呼ばれるようにしたいと、力強く語ってくれた。元のページに戻る