三重県/加藤 元信
昭和61年、従来のブロイラーとは一味違ったおいしい鶏肉づくりを目指して、 三重県経済連が中心となり、県下の種鶏場、食鶏処理場、農家15戸から成る「伊 勢特産鶏普及協会」が設立された。フランス産の高級鶏レッドブローを導入し、 開放鶏舎でオリジナル飼料により、80日間飼育したものを、「伊勢赤どり」の名 称で生産、販売を開始した。 消費者の評判も良く、良質な本県独自の特産品として、県内の他、近隣県、京 阪神地方に年間70万羽程度を出荷している。 しかし、産地間競争が激化する中で、ブランドの維持強化のため、消費者ニー ズに対応して、近年、販売形態も正肉のみでなく、鍋物の原料とのセット販売、 味噌漬け、やきとり等商品開発の強化を図るとともに、消費者の関心が一段と高 まっている安全性確保や、更に、新たな交配鶏の開発にも取り組んでいる。 安全性確保については、@ヒナの衛生対策として、ニューカッスル病等従来の ワクチンに加えコクジュウムのワクチン投与を、サルモネラ対策としてCE法(競 合排除法・清浄な培養菌を初生ヒナに投与することにより、サルモネラ菌の繁殖 を抑制する方法)を取り入れている。A飼料の衛生対策は、抗菌材、抗生物質等 を無添加とし、飼料のエキスパンダ化(飼料を140℃に加熱し、噴出させることに より、殺菌及び嗜好性を向上させる)により細菌を抑えるほか、有機酸、オリゴ 糖(近々添加の予定)添加によりCE法と合わせて腸内細菌の清浄化を図っている。 B管理衛生対策としては、家畜保健衛生所の協力のもとで、生産農家の定期的な 巡回検査、経済連の家畜衛生検査室で出荷鶏の抗生物質残留検査を実施するほか、 HACCP対応の食鶏処理場で解体し、安全性確保に努めている。 行政、研究機関の協力のもと、今後、制定が予定されている地鶏の特定JAS規格 の取得も視野に入れ、「伊勢赤どり」と地元古来の和鶏「八木戸」との交配を進 めていた。さらに高品質化を目指し、名古屋種を加えた交配鶏特産品「みえ地鶏」 を完成させた。新しいブランドとして、各種イベントで試食会等を行い普及を図 っており、非常に好評である。
【完成した特産品「みえ地鶏」】 |