神奈川県/川西 隆智
神奈川県肉牛肥育技術研究会は、現在会員数40名、肥育技術の研さんと情報交 換を目的とした肥育牛生産農家の組織であり、県内生産農家の約20%(全飼養頭 数では約45%を占める)が参加している。この会が発足した昭和52年当時は肥育 農家の多くが酪農家からの転身によるもので、肥育技術にも乏しく高品質牛肉生 産に切磋琢磨していた時代である。 この会の特徴は現状に満足することなく、より高品質な牛肉を生産するための 研究を欠かさないことで、横浜食肉市場を拠点として開催される隔月ごとの枝肉 研究会には毎回30頭前後が集められ、肥育飼料やビタミン、ミネラル、管理環境 等による肉質への影響について徹底した研究が行われている。また、研究会とし て確保している市場枠には毎月30〜50頭が出荷され、知名度の高さから一般より も高値で取引されている。平成9年度の出荷頭数は478頭で、そのうち和牛が221 頭と約半数近くを占め、F1 178頭、乳用種79頭と和牛割合の高い傾向はここ7〜 8年続いている。 また、上物率も高く、特に和牛去勢では70%、F1雌でも25%を占めており、 技術の高さを物語っている。素牛選定については研究会内で十分な検討がなされ、 その経営内容に合った系統の確保を心掛けており、現在では肉質重視の系統とし て岩手、宮城から、重量重視の系統として鹿児島、宮崎等からの導入が多くなっ ている。 枝肉の成績は全てコンピューターに保存され、枝肉重量・肉質・販売金額等が 系統の組み合わせごとに管理されており、素牛選定の際の重要な資料となってい る。なお、A 4 以上の牛肉については「相州牛」という神奈川県指定ブランドに なっており、消費者から高い評価を受けている。また、東京芝浦食肉市場で開催 された平成10年度第40回関東肉牛枝肉共進会では会員の一人が農林水産大臣賞を 受賞しており、高品質牛肉生産への意欲が一層高まったものと思われる。 戸数や頭数の減少が著しい本県畜産業であるが唯一肉用牛だけは増加傾向にあ り、その屋台骨をガッチリと支えている当研究会に熱いエールを送りたい。
【枝肉研究で自分の枝肉を熱心に見る】 |
【会員が管理する肥育牛舎】 |