◎地域便り


種雄牛のデータを情報処理

群馬県/島田 尚人


 種雄牛選択の良否は、人工授精を行ってから約1年後に子牛市場に出荷され、
競売が成立した時に判明することが多い。この結果が出るまでに長い期間がかか
るため、もし種雄牛の選択を失敗しても、子牛市場の相場のせいにしたり、運が
悪かったなどと片づける場合がある。そこで生産農家が成績を適正に評価できる
ように、群馬県家畜商商業協同組合(前橋家畜市場内)では、種雄牛別のデータ
を情報処理することにした。これを見れば、「今、どのような肉用素牛が流通業
者や肥育農家に望まれているか」が一目で分かるようになっている。

 前橋家畜市場は年間約 4 万 5 千頭の取引頭数があり、全国でも有数な家畜市
場となっている。その個体ごとのデータを活用し、種雄牛別に平均販売価格、単
価、1日当たり増体等の成績を出し、今高値で取引されている種雄牛を一覧表と
して作成し、農家が要望する場合に限り提供する体制を整備した。特にF1子牛
は、購買者にとって母親の血統が不明であるため、肉用素牛の素性を知るには種
雄牛の血統に頼らざるを得ない。この成績を参考にして人工授精を実施すれば、
肥育農家の需要に合った肉用牛の生産が可能になり、高値で取引される確率が高
い。

 同組合の木暮理事長は、「今回整備した表計算ソフトの経費は約50万円である
が、この成績を生産農家が十分活用し、消費者ニーズに合った牛肉の生産が可能
になれば、安いものだ。是非農家の経営安定を図るためにも、この資料を活用し
てほしい」と話している。


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