◎地域便り


地域資源循環利用を促進

福島県/志賀 忠市


 平成10年度の福島県の畜産粗生産額は552億円(農業全体の約2割)と米に次ぐ第
2位であり、家畜の飼養頭数は肉用牛の全国第9位をはじめとして乳用牛第13位
など全国でも上位となっている。このように本県の畜産は粗生産額、飼養頭数等
量的に大きく、加えて地域社会の活力維持や自然環境の保全など、県勢発展に重
要な役割を果たしている。

 昨年11月には「家畜排せつ物の管理及び利用の促進に関する法律(以下「家畜
排せつ物法」とする。」が施行され、今後5年以内に家畜排せつ物の野積み、素
堀り等の不適切な管理を解消するとともに、家畜排せつ物のより一層の利用促進
が求められているところである。本県においても法律の持つ背景同様畜産経営の
規模拡大や、農村地域の市街化、混住化等により、畜産環境問題が大きな課題と
なっている。そこで、今年度から新規の県単独事業として「地域資源循環利用促
進事業」を創設し、たい肥舎等の整備促進、有機質資源の有効活用を推進する事
業を開始したのでその内容を紹介する。

○地域資源循環利用促進事業

 この事業はたい肥舎等の整備を推進する「畜産環境保全施設緊急整備事業(ハ
ード事業)」と、家畜排せつ物等の循環利用を推進する「地域資源循環利用シス
テム推進事業(ソフト事業)」の2つに区分される。

@畜産環境保全施設緊急整備事業

 家畜排せつ物を不適切に管理をしている畜産農家にたい肥舎等を整備する事業
で、事業主体を「家畜排せつ物法」の適用を受ける畜産農家を含む3戸以上のた
い肥生産利用組合等とし、標準事業費はおおむね600万円、市町村が補助する額
の3分の2以内で、かつ、事業費の3分の1を上限とする額を県が補助することとし
ている。(年間25カ所で、5年間実施予定)

(例1)自己負担1/2、市町村補助金1/2(事業費600万円)の場合
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(例2)自己負担1/3、市町村補助金2/3(事業費600万円)の場合
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 なお、事業費の大きいもの(1,000万円以上)は国庫補助事業、中規模のもの
(600〜1,000万円)は畜産環境整備リース事業へ誘導し、比較的小規模なもの
(おおむね600万円)をこの事業で整備推進すること等により、5年間で家畜排せ
つ物の不適切な管理を解消する計画である。

A地域資源循環利用システム推進事業

 環境と調和のとれた持続的な農業システムを確立するためには、家畜排せつ物
の適切な処理による有機質資源の利用促進が重要であり、共同利用の家畜排せつ
物処理施設(たい肥センター等)は有機物供給の基幹施設として重要な役割を担
っている。

 このためこの事業では、たい肥センター等を対象に、プロジェクトチームによ
る経営診断、たい肥の成分分析等を実施し、たい肥の生産・流通・利用等の循環
利用の拡大および処理施設の導入を促進することを目的に事業を展開している。

 なお、年間2カ所3年間で6カ所のモデルたい肥センターの調査を実施する予定
である。

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