新潟県/企画情報部
母豚95頭規模での養豚と2.4ヘクタールでの稲作を経営する有限会社志賀はJR 信越本線の見附駅から車で10分足らずのところに位置している。 北陸自動車道を挟んで畜舎は2つ。年間に出荷される2,100〜2,200頭。 今年から飼料の全面的な転換に踏み切った。非遺伝子組み換え作物であること が確認される飼料のみを給じすることにしたのである。 その理由は「もう一段上のレベルを目指したかったから…」と語るのは代表取 締役の志賀聡さん(46歳)。それまでは生産性の向上もねらっていたが、「食の 安全性、健康志向の高まりなど、消費者からの要請に応えよう」としたのであっ た。 これによって志賀さんの豚肉は流通関係者から、より高い評価が与えられるよ うになり価格面にもそれは反映されている。 志賀さんは東京で耕種農業技術を専攻した後、家業を継ぐ形で養豚に従事する ようになった。その当時の規模は母豚40頭程度。一時は100頭を超したこともあ ったが、生産性の向上に伴って徐々に適正規模に調整し、今日に至っている。 現在の従事者は志賀さん本人と両親の3人。週単位で組まれた詳細なスケジュ ールに基づいて作業は消化されている。 ほぼ6カ月齢で出荷される豚は枝肉 ベースで平均72〜73キログラム。種豚については3年を限度とし、毎年20〜30 頭ずつ更新されている。 「自分のところから出すものだから…」というぐらいの気持でふん尿処理に係 る浄化槽とたい肥コンポスト等を導入したのは昭和59年のこと。ていねいに2次 発酵までさせていることから、近辺の利用者の間で「良いたい肥だ」と好評を得 ている。 1袋15キログラム入りで配達費込みの価格は400円。一帯では基盤整備に伴う ほ場の大規模化が進められている。となると利用者は袋入りでの供給ではなく、 散布作業までも含めた対応を求めるものと思われ、これに必要な機械の購入が新 たな課題になろうとしている。 同様に老朽化しつつあるふん尿処理設備の更新も検討しなければならない。ま た高齢に達した両親に替わる労働力の確保もテーマの1つになろうとしている。 稲作のメッカである中越地方でも見附市は例外的な地域。古くから養豚が盛ん だった。 こうした環境の中にあって、これからも志賀さんは養豚業を守り、育てていこ うと考えている。それには「とにかく消費者ニーズについていくことが一番」と 地道な経営展開を図る方針だ。
【コンポストの前で】 |
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【飼料は非遺伝子組み換え】 |