宮崎県/黒木 豊美
宮崎県の西に位置する野尻町は、環境保全等と有機物のリサイクルを基本とし た資源循環型畜産の推進を図る目的で、「有機センター」設立計画に取り組み、 平成12年10月にたい肥化処理施設が完成し、管理主体である(株)のじりアグリ サービスが運営を開始した。 ここでは、水質汚濁防止法に係る指定湖沼である野尻湖に流れ込む、岩瀬川上 流地域に点在している畜産農家から出される家畜排せつ物を処理する。 たい肥化処理施設は、10年度から着工し、3カ年をかけて完成した。施設は、 原料貯蔵棟、一次発酵棟、二次養生棟、製品棟から成っている。 この処理能力は年間1万5,000トンであり、これは町内で発生する家畜排せつ 物の3分の1を処理でき、本センターへ参加を希望した畜産農家(63戸)から牛 ふん・豚ふん・鶏ふんが持ち込まれる。牛ふん・豚ふんは原料混合槽へ投入し、 その後、スクープ型発酵処理施設で一次発酵(30日間)を行い、養生棟に搬送さ れる。豚ふん・スラリー・鶏ふんは原料混合槽で混合後、密閉式縦型発酵槽で一 次発酵(10日間)後、養生棟に搬送される。製品化には6カ月をかけ、最後は、 製品棟で一部をふるいにかけて袋詰め作業等を行い、利用しやすい大きさで、農 協等を通じ販売する。尿処理施設については、13年度完成をめざし、取り組んで いるところである。 家畜排せつ物法の施行に先駈けて、野尻町が事業実施主体となり、国の補助事 業である畜産経営環境整備事業を導入したことは、大変意義のあるもので、今後、 有機センターが耕種農家と連携のもと資源循環型農業に大きな効果を発揮するこ とを期待したい。
【「野尻町有機センター」全景】 |
|
【畜産経営環境整備事業により完成した 「野尻町有機センター」】 |