企画情報部
平成13年10月で農林水産省より「牛海綿状脳症(BSE)関連対策の概要」が公表されたのでご紹介します。
BSE監視体制(サーベイランス)の強化対策 1 農場段階でのBSEサーベイランス検査の強化 BSE関連病性鑑定施設等整備事業 事業の目的および内容:EU指令に準じたサーベイランス、中枢神経症状を示し て死亡した家畜のBSE検査を実施し、厚生労働省と連携した安全な牛肉の供給体 制の確立を図るため、都道府県の家畜保健衛生所にBSE検査関係施設、冷蔵施設、 焼却施設の整備を行う。 事業実施主体:都道府県 所要額:770百万円(1/2以内) 2 飼料への肉骨粉混入防止のための検査体制の強化 BSE関連飼料適性給与緊急対策事業 事業の目的および内容:動物性飼料の一時停止措置を確実に講じることによりB SEの発生防止に万全を期するためには、肉骨粉等の検査体制を緊急に整備する ことが喫緊の課題となっている。このため、都道府県に肉骨粉等の検出および肉 骨粉等の動物種の判別のための機器(PCR装置)等の整備を行う。 事業実施主体:都道府県 所要額:92百万円(1/2以内) トレーサビリティ・システムの確立 牛の個体識別システムの構築(牛の総背番号制度の導入) 家畜個体識別システム緊急整備事業 事業の目的および内容:すべての牛に生涯一つの個体識別番号を付与し、個体の 移動歴等を把握する「家畜個体識別システム」を確立するため、家畜個体識別セ ンターおよび個体識別番号管理のための機器整備、全頭への耳標装着活動への支 援、個体情報を効率的に収集し全国データベースに送信するために必要なシステ ム開発、機器整備等を行う。 事業主体:社団法人家畜改良事業団 所要額:3,442百万円(定額)
BSE新検査体制に対応した食肉処理体制の整備 BSE対応食肉施設整備対策事業 事業の目的および内容:BSE検査の結果が出るまでの間、副産物の区分管理お よびと畜場法施行規則の改正による牛の頭部(舌及び頬肉を除く)、脊髄及び回 腸(盲腸との接続部分から2メートルまでの部分に限る。)(以下「特定危険部 位」という。)の焼却が義務付けられたことから食肉センター等における可食内 臓等の区分管理、品質劣化を防止する冷蔵施設等の整備、化製原料の区分管理の ための収納庫等の整備、特定危険部位の焼却処理のための施設整備等を行う。 事業実施主体:市町村、農業協同組合等 所要額:1,028百万円(1/2以内、1/3以内) BSE検査開始前の国産牛肉の市場隔離 牛肉在庫緊急保管対策事業 事業の目的および内容:10月17日以前にと畜解体された牛肉を市場から隔離し、 国民の不安を念には念を入れて払拭し、市場における牛肉の滞留を解消して円滑 な食肉の流通を確保するため、全国に会員を有する団体が買い上げ、冷凍保管を 行い、冷蔵倉庫から搬出させないこととし、最終処分は国の責任において万全を 期す。 事業実施主体:農業協同組合連合会、全国食肉事業協同組合連合会、日本ハム・ ソーセージ工業協同組合 所要額:9,194百万円(定額)
農家経営対策 1 牛枝肉価格の安定 牛肉価格安定緊急対策事業 事業の目的および内容:BSEによる牛肉価格下落の回復を早急に図るため、生 産者団体等が行う調整保管に支援を行う。 事業実施主体:農業協同組合連合会、全国食肉事業協同組合連合会、日本ハム・ ソーセージ工業協同組合 所要額:16,221百万円 2 肉用牛肥育経営の緊急支援 BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業 事業の目的および内容:肉用牛経営体の継続のため、現行の肉用牛肥育経営安定 緊急対策事業では対応できない収益性の悪化に対し、肥育牛1頭当たりの粗収益 が家族労働費を除いた生産費(物財費相当)を下回った場合に、その差額を1月 ごとに補てんする。 事業実施期間:平成13年9月10日〜平成14年3月 事業実施主体:全国連等(全農、全開連、全畜連、全酪連、全日本畜産経営安定 基金協会) 所要額:25,579百万円 (表) (注)今回の奨励金は、特例措置として、子牛生産拡大奨励金 を、対象を拡大して交付するもの。なお、発動基準とな る子牛価格は、肉用子牛生産者補給金制度において定め られた指定市場の四半期ごとの平均売買価格。 3 肉専用種繁殖経営の安定 子牛生産拡大奨励事業―BSE対応のための特例措置 事業の目的および内容:肉専用種繁殖経営に対し、特例措置として従前の子牛生 産拡大奨励事業の対象を拡大(飼養規模の増減に関係なく奨励金を交付)し、子 牛価格が発動基準を下回った場合に、販売または自家保留された子牛1頭当たり、 表の奨励金を交付する。 事業実施主体:(社)都道府県肉用子牛価格安定基金協会 4 BSE検査開始直後の出荷調整による1ヵ月以上の繰延べに対する助成 BSEスクリーニング検査円滑化対策事業 事業の目的および内容:BSEスクリーニング検査の円滑化を図り、早期にと畜体 制を正常化するため、農協連等が10月18日から11月30日までのと畜場あるいは 家畜市場等への出荷調整計画を策定し、出荷調整を行う場合、出荷を1ヵ月以上 繰り延べる生産者に下記の助成金を交付する。 肥育牛 1頭当たり 20,000円 廃用牛 1頭当たり 8,000円 肉用牛 1頭当たり 10,000円 事業実施主体:全国連等 所要額:1,871百万円 農家、食肉販売業者等に対する緊急融資 1 運転資金(BSE関連つなぎ資金)の融通 ア 生産者対策―大家畜経営維持資金(BSE関連つなぎ資金) 事業の目的および内容:経済的に影響を受けた大家畜経営の維持・継続に必要な 運転資金(肥育もと牛の導入、飼料費の購入、法人経営における賃金の支払等) を低利で融通する。 貸付条件:融資限度額(肥育用牛1頭当たり10万円、繁殖用雌牛1頭当たり5万 円、乳用牛1頭当たり10万円) 事業実施主体:社団法人中央畜産会 イ 食肉・畜産副産物の処理販売および家畜の取引・販売等を営む者―食肉処理 販売等特別資金(BSE関連つなぎ資金) 事業の目的および内容:経済的に影響を受けた食肉処理販売経営および畜産副産 物経営等の維持継続に必要な経費(食肉および畜産副産物資材等の仕入れ、施設 ・設備の維持費、雇用労働者等)の低利融資に対する利子補給 貸付条件:@融資限度額(1業者当たり)(食肉処理、販売等1,000万円以内、 畜産副産物4,000万円以内)A貸付利率1.60%B償還期間1年以内 事業実施主体:社団法人中央畜産会 2 BSE関連つなぎ資金の無担保・無保証人化 ア 大家畜経営維持資金償還円滑化事業 ―BSE関連つなぎ資金の債務保証の支援― 事業の目的および内容:大家畜経営維持資金の円滑な融通を図るため、農業信用 保証保険制度により、農業信用基金協会が無担保・無保証人で債務保証を行うの に必要な資金の支援を行う。 対象融資枠:214億円 事業実施主体:社団法人中央畜産会 イ BSE関連中小企業者対策について 事業の目的および内容:経済的に影響を受ける中小企業者(食肉卸売業者、小売 業者、飲食店等)に対し、中小企業庁として(1)相談窓口の設置(2)セーフ ティーネット保証(3)セーフティーネット貸付を実施する。
肉骨粉の処理等の推進 1 肉骨粉等の適切な処分の推進 ア 肉骨粉適正処分緊急対策事業 事業の目的および内容:肉骨粉の適正処分を推進することにより、円滑な畜産副 産物の処理の継続を通じ、と畜場機能の維持および肉畜出荷の安定化を図るため 肉骨粉を適正かつ計画的に焼却するための検討会を開催し、畜産副産物のレンダ リング処理およびこれにより製造された肉骨粉を焼却処分するのに必要な経費の 助成を行う。 事業実施主体:社団法人日本畜産副産物協会等 所要額:15,004百万円(定額) イ 飼料用肉骨粉適性処分緊急対策事業 事業の目的および内容:畜産物の安全性の確保に資するため、飼料製造工場およ び港湾倉庫の肉骨粉の在庫を合理的に処理するための推進方策を検討し、飼料工 場および港湾倉庫にある肉骨粉を焼却処分するのに必要な経費の助成を行う。 事業実施主体:社団法人配合飼料供給安定機構 所要額:415百万円(定額、1/2) 2 安全な肉骨粉の供給体制の整備 ア BSEフリー肉骨粉供給体制設備事業 事業の目的および内容:BSEフリーの安全な肉骨粉の製造・供給体制を可及的速 やかに確立し、レンダリング施設において、豚・鶏副産物とそれ以外の副産物を 区分した処理が可能となる体制へ整備および国際基準に適合した高度滅菌処理を 実施するための、施設設備推進、肉骨粉の新規用途の開発を行う。 事業実施主体:事業協同組合等 所要額:19,949百万円(定額、1/2以内) イ BSE対応肥料緊急対策事業 事業の目的および内容:肉骨粉等を原料とする肥料の牛への誤用・流用の防止に 万全を期するため、複合肥料の製造業者等による表示、啓発、肥料製造業者等が 保管管理している蒸製骨粉等の単肥製品を複合肥料化するための解袋・搬送等に 必要な経費の助成を行う。 事業実施主体:財団法人肥料経済研究所 所要額:94百万円(1/2以内) へい死牛の適切な焼却処理の推進 1 死亡牛緊急処理円滑化促進事業 事業の目的および内容:BSE発生に伴う地域の家畜衛生問題の改善のため、死亡 牛の円滑な流通処理を促進する取組に対して助成を行う。 事業実施主体:農協、農協連、全国および都道府県家畜畜産物衛生指導協会等 所要額:952百万円(定額、1/2) 2 死亡牛緊急処理円滑化施設整備事業 事業の目的および内容:緊急時の死亡牛等への対応能力の強化のため、死亡牛の 保管、細断等を行う機械施設(冷蔵庫、破砕機、袋詰め機等)の整備への助成を行う。 事業実施主体:農協、農協連、全国および都道府県家畜畜産物衛生指導協会 所要額:1,234百万円(1/2以内)
BSEに関する知識の普及、安全性のPR BSE関連知識普及事業 事業の目的および内容:BSEについてわが国が講じている防疫および食肉検査等 の対策、国産牛肉および牛乳等の安全性などBSE関連の情報を消費者にわかりや すく提供するため、マスメディア等を通じた消費者向け広報活動、地域イベント の開催、販売促進活動への支援等を行う。 事業実施主体:財団法人日本食肉消費総合センター、社団法人全国肉用牛協会、 社団法人全国牛乳普及協会、社団法人中央酪農会議 所要額:1,090百万円(定額、1/2以内) 出荷繰り延べに対する助成 ア BSEスクリーニング検査受検促進緊急対策事業 事業の目的および内容:厚生労働省は9月19日に30ヵ月齢以上のと畜牛を対象と して、更に10月9日には30ヵ月齢未満のと畜牛についてもBSEスクリーニング検 査を実施することに対応しBSE検査受検のために出荷を繰り延べた肥育農家等お よび子牛の市場出荷等を繰り延べた肉用子牛生産農家に対し以下の助成金の交付 を行う。 肥育牛出荷調整助成金 20,000円/頭 廃用牛出荷調整助成金 8,000円/頭 肉用子牛出荷調整助成金 10,000円/頭 事業実施主体:全国連等 所要額:2,030百万円 イ 牛海綿状脳症緊急病性鑑定事業 事業の目的および内容:BSEスクリーニング検査体制が整備されるまでの間、 と畜場出荷予定牛の集中的サーベイランスとBSE検査を実施するとともに、病性 鑑定で解剖された牛を焼却するための家畜保健衛生所の焼却施設整備への助成を 行う。 委託先および事業実施主体:独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所、都 道府県 所要額:38百万円(定額、1/2以内) ウ BSE対応緊急淘汰奨励事業 事業の目的および内容:BSE患畜の同居牛や繁殖者が飼養していた同居牛など の所在を追跡し、感染の有無を確認し、早急に焼却処分をするため、これらを時 価評価で買い上げ、と畜し、BSE検査を行った上で焼却処分する経費の助成を行 う。 事業実施主体:社団法人全国家畜畜産物衛生指導協会、社団法人都道府県家畜畜 産物衛生指導協会 所要額:41百万円
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