農林水産大臣官房調査課 歌丸 恵理
平成12年度下期(10月〜3月)の見通しについては、平成12年度農業観測(6月 9日公表)を補完するため、11月30日及び12月4日に畜産物等需給動向検討会を開 催し、「平成12年度下期 畜産物等の需給・価格の見通し」として12月15日に公 表したところである。ここでは、そのうち畜産物(飼料を除く)について、その 概要を紹介する。なお、最近の需給動向や見通し等の全文については、農林水産 省ホームページでご覧いただきたい。 農業観測ホームページ (http://www.kanbou.maff.go.jp/www/chousa/kansoku/kansokuhp.html) また、見通しの増減・騰落幅については、前年同期に対するものであり、下記 の用語で記述している。 わずか・・・・・・・・・・・・・・・・・・±2%台以内 やや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・±3〜5%台 かなり・・・・・・・・・・・・・・・・・・±6〜15%台 かなりの程度・・・・・・・・・・・・±6〜10%台 かなり大きく・・・・・・・・・・・・±11〜15%台 大幅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・±16%台以上
・12年度下期の食肉の消費量は、前年同期並みないしわずかに増加すると見込ま れる。 ・食肉の生産量は、わずかに減少すると見込まれる。 ・食肉の輸入量は、わずかに増加すると見込まれる。 消費 11年度の食肉(牛肉+豚肉+鶏肉)の1人当たり消費量は1.8%増の28.2kgとな った。 12年度上期は、加工・外食等消費量がわずかな増加となっていることから、全 体では1.4%の増加となっている。 12年度下期の食肉の1人当たり消費量は、前年同期並みないしわずかに増加す ると見込まれる。このうち家計消費量は、11年夏以降減少傾向にあること等の最 近の動向から前年同期並みないしわずかに減少すると見込まれ、加工・外食等消 費量は、特に加工・外食等消費の約4割を占める鶏肉において調理食品等に対す る需要が増加傾向にあること等から、わずかに増加すると見込まれる。 供給 食肉全体の国内生産量は、10年度以降は前年度を下回っており、11年度は1.0% 減少の303万3,000トン(枝肉・骨付き肉)となった。12年度上期は0.9%減少して いる。 12年度下期の食肉の国内生産量は、わずかに減少すると見込まれる。 また、食肉全体の輸入量は、10年度以降増加傾向にあり、11年度は、鶏肉、豚 肉がかなりないし大幅に増加したことから9.2%増加の258万9,000トン(枝肉・骨 付き換算)となった。12年度上期は、豚肉がかなりの程度減少しているものの、 牛肉、鶏肉はかなり増加していることから、4.2%増加している。 12年度下期の食肉の輸入量は、国内生産量がわずかに減少すると見込まれるこ とから、わずかに増加すると見込まれる。
・12年度下期の牛肉の消費量は、わずかに増加すると見込まれる。 ・成牛枝肉生産量は、やや減少すると見込まれる。 ・牛肉の輸入量は、わずかに増加すると見込まれる。 ・牛枝肉卸売価格(省令規格)は、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。 消費 11年度の牛肉の1人当たり消費量(供給純食料)は、加工・外食等消費量の伸び 率が鈍化したことから、全体では0.2%増の7.3kgとなった。12年度上期は、家計消 費量がわずかに減少しているものの、加工・外食等消費量が増加していることか ら3.0%の増加となっている。 12年度下期の牛肉の消費量は、わずかに増加すると見込まれる。このうち、家 計消費量はわずかに減少すると見込まれ、加工・外食等消費量は、11年度後半か ら調理食品等の需要増加によりおおむね前年同月を上回って推移しており、わず かないしやや増加すると見込まれる。 供給 11年度の成牛枝肉生産量は乳用種の増加により2.7%増の54万4,000トンとなっ た。12年度上期は、肉用種、乳用種ともに減少しており、3.4%の減少となってい る。 12年度下期の成牛枝肉生産量は、子牛の生産動向等からやや減少すると見込ま れる。 また、11年度の牛肉の輸入量は、ほぼ前年度並みの68万3,000トン(部分肉ベー ス)となった。12年度上期は冷蔵品、冷凍品ともに増加しており、9.4%の増加と なっている。 12年度下期の牛肉の輸入量は、消費量がわずかに増加すると見込まれるなか、 国内生産量がやや減少すると見込まれることから、わずかに増加すると見込まれ る。このうち、冷蔵品は、わずかに増加すると見込まれ、冷凍品は、輸入在庫が 例年になく増加していることから、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。 なお、牛肉の在庫量は輸入在庫が増加していることから、12年9月末で11万 6,000トンとなっている。 価格 11年度の牛枝肉卸売価格(省令規格)は、2.9%安の1,058円/kgとなった。 12年度上期は、11年秋以降、低・中級規格が上昇していることから、5.9%高と なっている。 12年度下期の牛枝肉卸売価格(省令規格)は、消費量がわずかに増加すると見 込まれるなか、国内生産量がやや減少すると見込まれるものの、前年度下期が高 水準で推移したこと、家計消費が中心であること等から、ほぼ前年同期並みにな ると見込まれる。
・12年度下期の豚肉の消費量は、前年同期並みないしわずかに減少すると見込ま れる。 ・豚枝肉生産量は、わずかに減少すると見込まれる。 ・豚肉の輸入量は、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。 ・豚枝肉卸売価格(省令規格)は、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。 消費 11年度の豚肉の1人当たり消費量(供給純食料)は、家計消費量、加工・外食 等消費量ともに増加し、2.1%増の10.7kgとなった。 12年度上期は、家計消費量、加工・外食等消費量ともにわずかに減少している ことから、0.8%の減少となっている。 12年度下期の豚肉の消費量は、家計消費量がほぼ前年同期並み、加工・外食等 消費量がわずかに減少すると見込まれることから、全体では前年同期並みないし わずかに減少すると見込まれる。 供給 11年度の豚枝肉生産量は、1.3%減の127万5,000トンとなった。12年度上期は 1.7%の減少となっている。 12年度下期の豚枝肉生産量は、子取り用めす豚の飼養頭数がわずかに減少して いることからわずかに減少すると見込まれる。 また、11年度の豚肉の輸入量は、冷蔵品、冷凍品ともに大幅に増加し、19.6% 増の65万3,000トン(部分肉ベース)となった。 12年度上期は、11年度末の在庫が多かったこと等から年度当初を中心に減少し、 6.6%の減少となっている。 12年度下期の豚肉の輸入量は、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。このう ち、冷蔵品は国内生産量がわずかに減少すると見込まれることからわずかに増加 すると見込まれ、冷凍品は、加工・外食等需要が減少傾向にあることから、わず かに減少すると見込まれる。 なお、豚肉の在庫量は、12年9月末で9万3,600トンとなっている。 価格 11年度の豚枝肉卸売価格(省令規格)は、1.5%安の448円/kgとなった。 12年度上期は、需要が低迷していること等から4.8%安となっている。 12年度下期の豚枝肉卸売価格(省令規格)は、消費量が前年同期並みないしわ ずかに減少すると見込まれるなかで、国内生産量がわずかに減少し、冷蔵品の輸 入量がわずかに増加すると見込まれること、また、12年10月30日より、11年に引 き続き生産者団体や加工業者団体による調整保管が実施されていること等から、 ほぼ前年同期並みになると見込まれる。
・12年度下期の鶏肉の消費量は、わずかに増加すると見込まれる。 ・鶏肉の生産量は、わずかに減少すると見込まれる。 ・鶏肉の輸入量は、前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。 ・ブロイラーの正肉卸売価格は、「もも肉」はわずかに上回り、「むね肉」はや や下回ると見込まれる。 消費 11年度の鶏肉の1人当たり消費量(供給純食料)は、2.6%増の10.2kgとなった。 12年度上期は、家計消費、加工・外食等消費ともに増加傾向で推移しており2.4 %の増加となっている。 12年度下期の鶏肉の消費量は、わずかに増加すると見込まれる。このうち、家 計消費量は前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれ、加工・外食等消費 量は、安価な輸入鶏肉調製品の供給増や生鮮鶏肉からの需要の代替等が継続する と見込まれること等から、わずかに増加すると見込まれる。 供給 11年度の鶏肉の生産量は、2.2%減の118万5,000トンとなった。 12年度上期は、出荷羽数がわずかに減少しているものの、1羽当たり重量が増 加しているとみられることから、0.8%の増加となっている。 12年度下期の鶏肉の生産量は、ひな導入が減少傾向にあることからわずかに減 少すると見込まれる。 また、11年度の鶏肉の輸入量(調製品等を含む。)は10.1%増の65万トン(骨 付き換算)となった。12年度上期は、加工・外食等消費を中心に需要が堅調に推 移しているとみられることから10.7%の増加となっている。 12年度下期の鶏肉の輸入量は、消費量がわずかに増加すると見込まれ、約3分 の2を占める国内生産量がわずかに減少すると見込まれるものの、在庫量が過去 最高の水準になっていること等から、前年同期並みないしわずかに増加すると見 込まれる。 価格 11年度のブロイラーの正肉卸売価格(東京)は、「もも肉」が3.7%安の591円 /kgとなり、「むね肉」が16.0%安の221円/kgとなった。 12年度上期は、「もも肉」は、需要が堅調であることから減少幅が縮小し、8 月以降は前年同月を上回っており、前年同期に比べて0.3%高となっている。「む ね肉」は21.1%安となっている。 12年度下期のブロイラーの正肉卸売価格は、主として家計消費に仕向けられる 「もも肉」は、家計消費が前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれ、国 内生産量がわずかに減少すると見込まれること等から、わずかに上回ると見込ま れる。一方、主として加工・外食等消費に仕向けられる「むね肉」は、前年同期 に比べ下落幅は縮小するとみられるものの、安価な輸入鶏肉や輸入調製品との競 合等から、やや下回ると見込まれる。
・12年度下期の牛乳・乳製品の消費量は、前年同期並みないしわずかに増加する と見込まれる。このうち、飲用牛乳等はほぼ前年同期並み、乳製品はわずかに 増加すると見込まれる。 ・生乳生産量は、わずかに減少すると見込まれる。 ・乳製品の輸入量(生乳換算)は、わずかに増加すると見込まれる。 ・生乳の生産者価格(総合乳価、全国)は、ほぼ前年同期並みになると見込まれ る。 消費 11年度の牛乳・乳製品の1人当たり消費量(供給純食料:生乳換算)は0.8%増 の93.0kgとなった。12年度上期は、飲用向け、乳製品向けともにわずかに増加し ているとみられる。 12年度下期の牛乳・乳製品の1人当たり消費量は、前年同期並みないしわずか に増加すると見込まれる。このうち飲用牛乳等の消費量は、12年6月末に発生し た雪印乳業食中毒事故以降、加工乳・乳飲料から牛乳へ消費がシフトしているこ と等から、ほぼ前年同期並みになると見込まれ、乳製品の消費量は、バターの消 費拡大対策等により、わずかに増加すると見込まれる。 供給 11年度の生乳生産量は、北海道が0.8%の増加、都府県が1.3%の減少となり、 全体では0.4%減の851万4,000トンとなった。 12年度上期は、北海道が前年の猛暑の影響で受胎率が低下したことにより今夏 の分娩が減少したこと等から0.8%の減少となり、都府県は経産牛飼養頭数の減少 傾向が継続しているものの、1頭当たり泌乳量が前年同月を上回って推移してい ることから1.3%の増加となり、全国では0.4%の増加となっている。 12年度下期の生乳生産量は、都府県を中心に飼養頭数が減少傾向にあること等 から、わずかに減少すると見込まれる。用途別処理量は、飲用牛乳等向けは、わ ずかに増加、乳製品向けは、わずかに減少すると見込まれる。 11年度の乳製品の輸入量(生乳換算)は、5.0%増の368万3,000トンとなった。 12年度上期は、ナチュラルチーズが5.5%、プロセスチーズが17.4%の増加となっ ていることから、全体では5.2%の増加となっている。 12年度下期の乳製品の輸入量(生乳換算)は、乳製品の消費量がわずかに増加 すると見込まれるなか、国内生産の乳製品向け処理量がわずかに減少すると見込 まれることから、わずかに増加すると見込まれる。 なお、乳製品の在庫量は、12年9月末で、脱脂粉乳が4万8,200トン、バターが4 万2,500トンとなっている。 価格 11年度の生乳の生産者価格(総合乳価、全国)は、飲用牛乳等向けの割合が低 下したこと、加工原料乳に対する奨励金(2円/kg)が見直されたこと等により、 上期が1.0%、下期が0.2%下回ったことから、0.6%下回る82.2円/kgとなった。 12年度上期は、食中毒事故以降に飲用需要が増加に転じているものの、4〜6月 に乳製品仕向量の割合が大幅に増加していたこと、加工原料乳保証価格が引き下 げられたこと等から、前年同期を0.5%下回っている。 12年度下期の生乳の生産者価格(総合乳価、全国)は、12年度の加工原料乳保 証価格が引き下げられたものの、飲用牛乳等向け処理量の割合が増加するとみら れることから、ほぼ前年同期並みになると見込まれる。
・12年度下期の鶏卵の消費量は、ほぼ前年度並みないしわずかに増加すると見込 まれる。 ・鶏卵の生産量は、わずかに増加すると見込まれる。 ・鶏卵の輸入量は、前年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。 ・鶏卵の卸売価格(東京、M規格)は、やや下回ると見込まれる。 消費 11年度の鶏卵の1人当たり消費量(供給純食料)は、0.6%増の17.0kgとなった。 12年度上期は、0.9%の減少となっている。このうち家計消費については、今夏の 猛暑の影響等もあり需要が弱まっているとみられることから1.4%の減少となり、 加工・外食等消費については、ほぼ前年同期並みで推移している。 12年度下期の鶏卵の1人当たり消費量は、ほぼ前年同期並みないしわずかに増加 すると見込まれる。このうち、家計消費量は、ほぼ前年同期並みになると見込ま れ、加工・外食等消費量はわずかに増加すると見込まれる。 供給 11年度の鶏卵の生産量は、0.1%減の253万5,000トンとなった。12年度上期は、 11年度以降の卵価上昇により生産意欲が回復してきているものの、今夏の猛暑の 影響により卵重が低下したとみられること等から、0.8%の減少となっている。 12年度下期の鶏卵の生産量は、成鶏の採卵供用期間は今後短縮するとみられる ものの、11年6月以降前年を上回って推移していたひなえ付け羽数が、12年度に 入ってからも引き続き増加していることから、わずかに増加すると見込まれる。 11年度の鶏卵の輸入量(殻付き卵換算。以下同じ。)は、14.9%増の11万 9,100トンとなった。12年度上期は、前年同期に比べて円高で推移していること 等から卵黄粉、卵黄液を中心に増加しており、1.3%の増加となっている。 12年度下期の鶏卵の輸入量は、国産鶏卵の卸売価格は前年同期を下回ると見込 まれるものの、加工・外食等消費はわずかに増加すると見込まれることから、前 年同期並みないしわずかに増加すると見込まれる。 価格 11年度の鶏卵の卸売価格(東京、M規格)は、17.4%高の200円/kgとなった。 12年度上期は、家計消費が低迷していることから、5月以降前年同月をおおむね 下回っており、7.3%安となっている。 12年度下期の鶏卵の卸売価格(東京、M規格)は、消費量がほぼ前年同期並 みないしわずかに増加すると見込まれるものの、国内生産量がわずかに増加す ると見込まれること等から、前年同期に比べやや下回ると見込まれる。
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