◎地域便り


干潟町における飼料用稲の取り組み

千葉県/白井 幸夫


 千葉県の北東部に位置する香取郡干潟町。その町名は、かつて「椿の海」と呼
ばれた大きな湖の干拓に由来している。町の半分が「干潟八万石」と呼ばれる広
大な水田で占められている。湿田地帯であり、麦、大豆、飼料作物などの栽培は
困難な地域である。

 同町産業課では、今年、大規模水田農業を目指す農事組合法人「八万石」(代
表若梅繁由氏)が設立されたのを契機に、飼料用稲の生産への取り組みを始めた。
「米作りプロ集団の技術と機動力」と「水稲なら立派に作れる湿田」とを結び付
け、飼料用の稲の作付けによって米の生産調整を推進しようという試みで、稲・
ホールクロップサイレージのモデルほ場1.1ヘクタールを設置し、取り組んだ。

 8月18日に実施した収穫実演会には、水稲農家、畜産農家、農協、県・市町村
関係者ら100余名が見守る中、1本250キログラムのロールベール110本が収穫され
た。

 10月6日には、地元の肉用牛農家で給与実演会が開催され、合わせて、今後の
普及に向けた検討会も行われた。

 給与実演では、牛の嗜好性は大変高く、利用を希望する農家も増えてきている。

 一方、牛の健康面や肉質を心配する声が聞かれたほか、水稲、畜産両農家側か
ら価格の設定、保管場所の確保や作業機械の導入・整備などの、多くの課題が指
摘された。

 同町産業課では、来年度に向け、食用品種から飼料用品種への変更、作付面積
の拡大を検討するなど、水田資源のさらなる畜産利用を模索・検討している。
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【湿田のメリットを生かした飼料生産を】

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