◎地域便り


食肉資源としてのアイガモ…水稲利用アイガモでまちおこし

山梨県/松下 浩一


 山梨県におけるアイガモ農法は平成8年から開始され、当初は除草等の労力の
低減化を最大のメリットとして行われていたが、最近では減農薬での米生産が可
能になることや、稲の分けつが良好であること、さらに米の生産調整対策(減反
カウント)も追い風になり、現在、西八代郡や北巨摩郡などにおいて110戸の水
稲農家(約3,000羽)がアイガモ農法を実施し、生産された米は高価格で取り引
きされている状況にある。

 このように、アイガモ農法が県内各地で行われ、利用羽数が増加するに伴い、
肉資源としての有用性が認識されはじめ、関係者から効果的な肥育方法の確立が
要望され、現在、県畜産試験場において、水田放飼後の最適な飼育環境や給与飼
料の栄養水準等について試験を行っている。

 一方、利用農家の増加に伴い、県内各地域において(以前は自家消費が中心だ
ったが)、アイガモの地域の特産品としての利用に着目し、積極的に流通に乗せ
る動きがでてきた。しかし、この場合2つの大きな問題を解決する必要がある。

 1つ目は脱毛処理の問題である。アイガモは水禽ということもあり、脱毛を効
率的に行うことがとても困難である。一般にはワックス処理を施して脱毛してい
るが、本県にはアイガモ専用の処理施設がなく、当然脱毛方法についても詳しい
ノウハウの蓄積もない。

 そこで、県では今年度、関係者を集め隣県の水禽処理施設への見学会を開催し、
正肉としての販売を視野に入れながら、肉資源として適正な肉量、肉質の把握、
脱毛方法などの研修を行った。今後は県の関係機関などの協力を得る中で、市町
村・生産組合とともにより効率的なアイガモの処理方法の確立に努めてまいりた
いと考えている。

 2つ目は、販売の問題である。当初は珍しさも手伝って料理屋等での肉の利用
が多かったが、生産量が増加するに伴い、全羽を正肉として販売することが困難
になってきた。

 このため、アイガモを活用した地域の特産品を開発するべく、11年度から県を
中心に、関係町村や県内5カ所のアイガモ農法生産組合からなるアイガモ加工品
の開発検討会を行っている。具体的な活動としては、各町村で認知されている地
域の特産品(地味噌等)を副食材として取り入れながら、試作加工品の作成や来
県者へのアンケート調査を行った。今後は、その調査結果を踏まえ検討会で作成
した製造レシピに基づき、食肉加工業者に製造委託、試験販売、再アンケート調
査を行うこととしており、将来的には道の駅等での販売を目標に関係者一丸とな
って取り組んでいる。

 近い将来、果樹をしのぐ山梨県の主要なお土産品になるかもしれない。

 最後に、これを読まれている各地域の皆様で、アイガモの脱毛処理や加工販売
等の取り組みにおいてご意見やご助言等がありましたら山梨県畜産課までご一報
いただければ幸いです。
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【中華風のアイガモ調理例】

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【贈答用としても検討】

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