企画情報部情報第一課
当事業団では、牛乳・乳製品等の消費動向を的確に把握するため、社団法人食 品需給研究センターに委託して「牛乳等の小売価格及び牛乳・乳製品等の消費動 向調査」を毎年実施している。ここでは、12年度に実施した調査の概要を紹介し たい。なお、文中( )内の数字は、前年度からの増減を示す。 (調査方法、用語の説明等については、文末参照)
購買行動 @購入状況 12年度に4回の小売価格調査を実施した結果、牛乳等購入世帯延べ3,980世帯 のうち「牛乳」を購入した世帯は87.3(2.1:対前年増減ポイント、以下同じ。) %であった。以下、「低脂肪牛乳(加工乳)」が19.1(▲2.2)%、「乳飲料」 が16.3(▲2.4)%、「濃厚牛乳(加工乳)」が3.0(▲0.1)%となっている(複 数回答)。 なお、1,000ml紙容器入り牛乳だけを見ると、牛乳購入世帯の92.2(0.8)%を 占めており、牛乳の購入は1,000m紙容器入りが主流となっている。 ◇図1:牛乳等の種類別購入世帯割合(複数回答)◇ A購入先 1世帯当たりの1週間の飲用牛乳(牛乳および加工乳)の購入量を購入先別で 見ると、「量販店」が73.3(1.5)%と首位を占め、次いで「集団購入」の14.8 (1.6)%、「CVS」の5.2(▲2.3)%、「家庭配達」の5.1(▲0.5)%の順とな っている。 ◇図2:飲用牛乳の購入先別購入量構成比◇ B購入数量 1世帯1日当たりの飲用牛乳の平均購入数量は511.1(▲4.6:対前年増減、以 下同じ。)mlであり、その内訳は、「牛乳」が438.0(4.5)ml(構成比85.7(1.6) %)、「低脂肪牛乳」が64.9(▲9.2)ml(同12.7(▲1.7)%)、「濃厚牛乳」が 8.2(0.1)ml(同1.6(0.0)%)となっている。 ◇図3:1世帯1日当たりの飲用牛乳購入数量内訳◇ 購入価格(1,000ml紙容器入り) @種類別購入価格 「牛乳」が188.68(▲1.47)円、「低脂肪牛乳」が154.08(▲0.77)円、「濃 厚牛乳」が240.27(9.89)円、「乳飲料」は175.70(2.02)円となっている。 「牛乳」および「低脂肪牛乳」は前年度をわずかに下回ったが、他は若干上昇し ている。 この10年間の価格の推移を見ると、「牛乳」および「低脂肪牛乳」はおおむ ね低下傾向で推移し、12年度はこの10年間で最低となった。 ◇図4:牛乳等(1,000ml紙容器入り)の種類別購入価格の推移◇ A牛乳の購入先別購入価格 家庭配達が234.72(▲2.07)円で最も高く、次いで集団購入の205.42(0.39) 円、CVSの205.13(2.70)円、量販店の183.19(▲2.25)円となっている。購入先 により価格差があり、量販店が最も安い。 ◇図5:1,000ml牛乳購入先別価格◇ B牛乳の購入価格帯分布 最も多いのは「201〜210円」の価格帯の20.6(▲0.1)%、次いで「181〜190円」 の15.6(▲0.8)%、「191〜200円」の13.2(▲1.5)%等となっている。また、16 0円以下の価格帯が17.6(2.1)%を占め、 近年増加傾向にあることから特売の 頻度の高さがうかがわれる。 ◇図6:1,000ml牛乳の購入価格帯分布◇
飲用牛乳(牛乳および加工乳) @購入基準 牛乳の場合、最も重視されているのは「日付」(78.4%)であり、次いで「価 格」(48.4%)、「銘柄」(34.7%)等の順になっている。 加工乳についても、ほぼ同様であるが、低脂肪牛乳・無脂肪牛乳においては 「価格」の割合が比較的高くなっている。 ◇図7:飲用牛乳の購入基準(複数回答)◇ A今後の消費意向 いずれも「今のままでよい」が大半を占めており、牛乳で83.8%、低脂肪牛乳 ・無脂肪牛乳で91.8%、濃厚牛乳で97.2%となっている。「増やしたい」意向の 世帯は、牛乳において14.7%と最も多く、2.5ポイント増加した。「減らしたい」 はいずれもわずかである。 ◇図8:飲用牛乳の今後の消費意向◇ 乳飲料 @購入頻度 頻度の高い順に、「週1回程度」(14.1%)、「週2〜3回」(13.0%)、 「月に数回」(12.2%)、「月に数回以下」(11.9%)、「毎日」(2.8%)とな っており、残り5割弱の世帯が「ほとんど購入しない」となっている。週1回以 上購入している世帯は29.9%で、前年度を4.5ポイント下回った。 ◇図9:乳飲料の購入頻度◇ A機能強化タイプ(栄養強化および乳糖分解タイプ)乳飲料の今後の消費意向 乳飲料の中で、し好タイプ(コーヒー・フルーツ牛乳等)を除いた機能強化タ イプの今後の消費意向については、「今のまま」が74.2%と約4分の3を占め、 「増やしたい」と「減らしたい」はそれぞれ4.0%、1.8%と少なく、「わからな い」が20.0%あった。 ◇図10:機能強化タイプ乳飲料の今後の消費意向◇ はっ酵乳(ヨーグルト) @購入頻度 頻度の高い順に「週1回程度」(33.8%)、「週2〜3回」(29.0%)、「月 に数回」(17.8%)、「月に数回以下」(6.6%)、「毎日」(4.9%)の順にな っている。また、「ほとんど購入しない」世帯は7.9%と1ケタ台にとどまって いる。週1回以上購入する世帯は67.7%と前年を0.6ポイント上回った。 ◇図11:はっ酵乳の購入頻度◇ A今後の消費意向 「今のまま」が71.9%と大半を占めている。「増やしたい」意向の世帯は22.3 %あり、前年度を2.5ポイント下回ったが、「減らしたい」世帯が皆無で、牛乳 や他の乳製品に比べると積極的な購入意欲を持った世帯が多い。 ◇図12:はっ酵乳の今後の消費意向◇ チーズ @購入頻度 「月に数回以下」が38.9%で最も高く、次いで「月に数回」の29.3%、「週1 回程度」の17.1%の順になっている。週1回以上の購入世帯は22.2%と前年度を 4.6ポイント下回った。 ◇図13:チーズの購入頻度◇ A消費形態 用途別では「パン食用」が49.1%で最も高く、次いで「料理用」の44.0%、 「おつまみ用」の37.4%等の順になっている。 ◇図14 チーズの消費形態(複数回答)◇ B主に利用するチーズの種類 利用頻度の高い順に見ると、ナチュラルチーズでは、前年度3位の「パルメザ ン」(45.5%)が首位を占め、次いで「カマンベール」(42.1%)、「シュレッ ド」(37.2%)等となり、プロセスチーズでは、「とろけるスライスタイプ」(50 .7%)、「箱入りタイプ」(43.5%)、「スライスタイプ」(37.3%)等となって いる。 ◇図15:主に利用するチーズの種類(複数回答)◇ C今後の消費意向 「今のまま」と回答した世帯が74.4%を占めている。「増やしたい」意向の世 帯は19.3%と前年度を2.1ポイント上回り、「減らしたい」意向の世帯が皆無に 近いことから、今後も消費は伸びるものと推測される。 ◇図16:チーズの今後の消費意向◇ バターとマーガリン @利用状況 家庭において、バターとマーガリンのどちらの利用が多いかを見ると、A 料 理用では、「バター」の方が66.7%と多く、B パン食用では、「マーガリン」が 74.6%と大半を占めている。C 菓子用では、「バター」が53.6%と半数強を占め るが、「利用しない」も3割強ある。 ◇図17:バターとマーガリンの利用状況◇ A今後の消費意向 バターでは「今のまま」が84.6%と大半を占め、「増やしたい」は3.8%、「減 らしたい」は2.8%とともに少ない。バターの価格が今より2割程度安くなった場 合の消費意向は、「増やしたい」が74.7%と「今のまま」の20.6%を大きく上回 り、価格次第で今後、潜在需要を掘り起こし、消費を拡大する可能性があること を示している。 ◇図18:バターとマーガリンの今後の消費意向◇ [調査方法等] (1)調査対象 札幌、東京、名古屋、大阪及び福岡の 5 地区のそれぞれ200世帯、計1,000世帯 とした。 (2)調査事項 @牛乳等の小売価格実態調査―4半期に1回、年4回実施 牛乳等(牛乳、加工乳、乳飲料)に関する種類別の小売価格、購入数料、購入 方法等 A牛乳・乳製品等の消費動向調査―年1回実施 ・牛乳、加工乳、乳飲料に関する種類別の購入状況および今後の消費意向等 ・牛乳の料理における利用状況 ・乳製品等(はっ酵乳、チーズ、バターおよびマーガリン)の購入状況および今 後の消費意向等 (3)調査方法 調査員が調査票を調査対象世帯へ配布し、1週間留置き記入後、回収 (4)牛乳等の区分 「LL牛乳」(ロングライフミルク)は、「牛乳」および「加工乳」のうち 常温流通できるもの。 「低温殺菌牛乳」は、低温殺菌法(62〜65℃に30分間保持する方法)による牛乳。 (5)購入先 「家庭配達」とは牛乳販売店による宅配、「量販店」とは百貨店、スーパーマ ーケット、生活協同組合等の店舗のことであり、「集団購入」とは生協等による 共同購入をいう。なお、学校給食牛乳、職場での飲用等は原則として含めない。 「その他」にはパン屋、八百屋、自然食品店、移動販売車、自動販売機等が含 まれる。 (6)購入価格 購入価格は消費税込みとした。 〈お問合せ先〉 農畜産業振興事業団企画情報部情報第一課 担当 武田 電話 03−3583−8545 FAX 03−3584−1246 *報告書をご希望の方は、FAXでお申し込みください。ただし、部数に限りがあ ります。
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