沖縄県/安富祖 誠
「島は元気だ!」を合い言葉に、今年も2月25日に黒島牛まつりが開催された。 黒島はその昔、隆起サンゴ石灰岩でおおわれ、作物も充分穫れない不毛の島であ ったが、畜産基地建設事業でサンゴ石灰石をくだくスタビライザー工法により改 良草地が整備され、以来、「牛の島」として生まれ変わった。開催当日は、あい にくの冬の寒空の天気となったが、島外から2,000人以上が参加し、島が活気づ いた。牛の頭数2,600頭に対し、人口220人の島が、この日ばかりは、盛大な賑わ いをみせるのである。 この牛まつりは、島の活性化と若者が定住できる島づくりを目的として、平成 4年に自治省の地域活性化事業を導入して始まった。今年で第9回を数え、また 今年は21世紀初頭の年でもあるため、キャッチフレーズは「21世紀もやっぱり牛 が主役」を合い言葉に、多くの催し物が繰り広げられた。 まつりは、まず、地域の児童生徒による太鼓演奏で始まり、多彩な郷土芸能が 演じられ、恒例となっている3大イベントの1つである「牛との綱引き」では、 体重約1トンの牛が体格のいい大人たち(5〜6人)を軽々と引っ張り、力の違 いを見せつけていた。また、「牧草ロール転がし」では、重さが300キログラム もある牧草ロールを必死になって転がそうとする参加者の苦悶の表情に会場から は「ドッ」と笑いと拍手がわき起こり、ひときわ賑わいをみせていた。 毎年まつりのハイライトになっているのは「夢の牛1頭抽選会」で、今年は、 石垣市のMKさんが見事に幸運を射止め、「今年はいい年になりそうです。でも、 どうしましょうか?」とやや興奮気味に語っていた。 他の楽しみのひとつでもある、名物の「牛汁」や「牛のもも焼き」などのメニ ューには家族づれなどの長蛇の列ができ、おいしそうに舌鼓を打っており、「牛 の島」ならではの、のんびりとした牛づくしのイベントを十分に満喫しているよ うであった。
【牛との綱引き】 |
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【郷友会のみなさんの踊り】 |