乳業部乳製品課
当事業団では、加工乳・乳飲料等の生産実態を把握するために、財団法人経済 調査会に委託して、「加工乳・乳飲料等の生産実態調査」を毎年度実施している。 今回は、平成12年度に調査した平成11年度の生産実態を紹介したい。なお、調 査方法などについては、文末を参照されたい。
加工乳・乳飲料(図1) 加工乳・乳飲料ともに大手3社の生産シェアが50%を超えている。中でも、白 物乳飲料のシェアは74.8%と高い。加工乳では、農協プラント系(以下、農プラ 系)と中小系の生産シェアが比較的高い。 ◇図1:加工乳・乳飲料の生産シェア(平成11年度)◇ はっ酵乳(図2) はっ酵乳全体の生産シェアでは乳業が80%を超えており、非乳業のシェアは全 体的に低い。「ソフト」、「プレーン」、「フローズン等」では、乳業のシェア が90%を超えているが、「ドリンク」では62.1%と他のタイプと比較して低い。 ◇図2:はっ酵乳の生産シェア(平成11年度)◇ 生クリーム等(図3) 生クリーム等全体の生産シェアでは乳業が80%を超えており、非乳業のシェア は低いが、脂肪18%未満の製品では、非乳業の生産シェアが37.8%となっている。 なお、「生クリーム等」には、「クリーム」の他に、「乳等を主要原料とする 食品」や「植物性油脂」などの製品が含まれている。 ◇図3:生クリーム等の生産シェア(平成11年度)◇
加工乳(図4) 「低脂肪」は、乳脂肪率が1.1%〜1.2%、無脂乳固形分率は9.3%〜9.9%に 集中している。「濃厚」でも、乳脂肪率4.0〜4.1%、無脂乳固形分率8.8%〜9. 0%に集中している。「その他」の無脂乳固形分率は、8.3%〜8.8%と大きな差 はみられないが、乳脂肪率は2.2%〜3.6%と幅が広い。 ◇図4:加工乳の成分(平成11年度)◇ 白もの乳飲料(図5) 白もの乳飲料の乳脂肪率は1.3%〜2.1%、無脂乳固形分率は8.4%〜9.5%と 1%以上の幅がみられる。加工乳と比較すると、乳脂肪率、無脂乳固形分率とも に、全体的に低い。 ◇図5:白もの乳飲料の成分(平成11年度)◇
乳脂肪率(図6) 乳脂肪率ごとに見ると、「低脂肪(乳脂肪率1.5%以下)」の製品と、1.5% 超〜2.0%未満の製品、特濃(乳脂肪率3.8%以上)の製品が大半を占めている。 大手3社と農プラ系では、「低脂肪」の生産量が全体の半数を上回っている。 ◇図6:乳脂肪率ごとの生産量(加工乳)◇ 無脂乳固形分率(図7) 無脂乳固形分率は、10.0%以上11.0%未満の製品の生産量が最も多い。 大手3社と農プラ系では、10.0%以上11.0%未満の製品の生産量が最も多いが、 中小系では8.0%以上9.0%未満の製品が最も多い。 ◇図7:無脂乳固形分率ごとの生産量(加工乳)◇ 生乳使用割合(図8) 生乳使用割合は、10%以上20%未満の製品の生産量が最も多く、その大半は大 手3社が占めている。農プラ系では30%以上40%未満の製品が、中小系では90% 以上の製品の生産量が最も多い。 ◇図8:生乳使用割合ごとの生産量(加工乳)◇
乳脂肪率(図9) 乳脂肪率は、1.5%以上2.0%未満の製品の生産量が最も多く、全生産量の4割 強を占めている。「農プラ系」では、1.0%以上1.5%未満の製品の生産が多く、 「中小系」では3.0%以上3.5%未満の製品の生産が多い。 ◇図9:乳脂肪率ごとの生産量(白もの乳飲料)◇ 無脂乳固形分率(図10) 無脂乳固形分率ごとに見ると、8.0%未満の製品の生産量は少なく、10.0%以 上11.0%未満の製品を中心とした8.0%以上の製品の生産量が多くなっている。 生産量の分布としては、加工乳に近いものとなっている。 ◇図10:無脂乳固形分率ごとの生産量(白もの乳飲料)◇ 生乳使用割合(図11) 生乳使用割合は0%の製品が多く、全生産量の4割強を占めている。20%未満 の比較的生乳使用割合の低い製品が多い。 なお、生乳使用割合の記入がなかったものについては、除外して集計している。 ◇図11:生乳使用割合ごとの生産量(白もの乳飲料)◇
乳脂肪率(図12) 乳脂肪率は、3.0%以上3.5%未満と、0.5%以上1.0%未満の製品が多く生産 されており、3.5%以上の製品の生産量は少ない。 タイプ別には、「ドリンク」の乳脂肪率が比較的低く、「プレーン」は3.0% 以上3.5%未満に集中している。 ◇図12:乳脂肪率ごとの生産量(はっ酵乳)◇ 無脂乳固形分率(図13) 無脂乳固形分率は、8.0%以上8.5%未満と、9.5%以上10.0%未満の製品が多 く生産されており、10.0%以上の製品の生産量は少ない。 タイプ別には、「ドリンク」の無脂乳固形分率が低く、「プレーン」は9.5% 以上10.0%未満に集中している。 ◇図13:無脂乳固形分率ごとの生産量(はっ酵乳)◇ 生乳使用割合(図14) 生乳使用割合は、70%以上80%未満の製品の生産量が最も多いが、比較的、生 乳使用割合の低い30%未満の生産量が大半を占めている。タイプ別には、「ドリ ンク」の生乳使用割合は低く、「プレーン」は20%以上30%未満と70%以上80% 未満に集中している。 なお、生乳使用割合の記入がなかったものについては、除外して集計している。 ◇図14:生乳使用割合ごとの生産量(はっ酵乳)◇
乳脂肪率(図15) 乳脂肪率は、42.0%以上48.0%未満の製品が多く生産されている。 製品の大半は、「業務用」となっている。また、「自社使用」の製品は、42. 0%以上と乳脂肪率が高い。 ◇図15:乳脂肪率ごとの生産量(生クリーム等(乳脂肪率18%以上))◇ 無脂乳固形分率(図16) 無脂乳固形分率は4.0%以上6.0%未満のものが全体の7割を超えている。6.0 %以上の製品の生産量は極めて少ない。「自社使用」分については、2.0%未満 の製品と4.0%以上6.0%未満の製品は、ほぼ同じ量が生産されている。 ◇図16:無脂乳固形分率ごとの生産量(生クリーム等(乳脂肪率18%以上))◇ 植物性脂肪率(図17) 植物性脂肪率は0%のものが全生産量の8割を超えている。0%を超える製品 の生産量は少ないが、25.0%以上30.0%未満の製品が、他の製品より多く生産 されている。 ◇図17:植物性脂肪率ごとの生産量(生クリーム等(乳脂肪率18%以上))◇
調査対象 調査対象は、加工乳・乳飲料等を生産している全国の172社とした。 調査品目 調査品目は、「加工乳」「乳飲料」「はっ酵乳」「生クリーム等」とした。こ のうち、「生クリーム等」には、「クリーム」のほか、「乳等を主要原料とする 食品」、「植物性脂肪」でクリーム状のものを含んでいる。 調査項目 調査項目は、アイテムごとに成分(乳脂肪率、無脂乳固形分率、植物性脂肪率、 生乳使用割合)、生産量などを調査した。 調査方法 調査は、書面による郵送調査とし、一定期間留め置いた後、郵送により回収し て集計・分析を行った。また、必要に応じ、記入内容の確認を電話等で行った。
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