千葉県/農林水産部畜産課
はじめに 千葉県では、酪農・肉用牛の振興を図るために本計画を策定し、平成13年3月 23日に公表した。 本計画は、畜産県・酪農県としてさらに地位向上を目指すこととし、家畜排せ つ物の処理・活用対策と自給飼料の増産対策を表裏一体にとらえて推進すること に重点をおき、生産強化、安定供給、流通の合理化等を図ることとした。 また、生産目標数値の設定については、現状で推移した場合どの程度の生産量 になっているか「すう勢値」を最初に設定し、さらに、各課題を整理し、諸課題 に対応した場合どの程度の生産(何パーセント程度の増減)が可能か積算して目 標数値とした。 本生産目標数値は、食料・農業・農村基本計画に関する千葉県生産努力目標、 新世紀ちば5ヵ年計画、千葉県地域農業マスタープラン、千葉県家畜改良増殖計 画、千葉県飼料増産推進計画、千葉県における家畜排せつ物の利用の促進を図る ための計画、千葉県食肉流通合理化計画と整合したものとした。 主要計画の概要 1 酪農(生乳生産) 生乳生産については、表1「生乳の生産量および乳牛飼養頭数の目標の概要」 のとおりであるが、戸数減少が避けられない状況の中で、可能な限り規模拡大、 高度化施設の導入普及、牛自体の搾乳能力の向上等により目標年度までにすう勢 値に対して5パーセントの生乳増産を図ることとした。 乳質については、県内で生産される年間平均乳脂率は3.9パーセントであり、 季節的変動はあるものの約9割の生産者は取引基準を上回っている。今後は消費 者の健康志向や生乳の成分取引きへの移行を踏まえて無脂固形分、生菌数等を主 体とした乳質改善に努め、乳脂率3.9パーセント、無脂固形分率8.9パーセント を目標とした。 表1 生乳の生産量および乳牛飼養頭数の目標の概要 2 肉用牛 肉用牛生産については、表2「肉用牛の出荷頭数等の目標の概要」に示したと おり、戸数減少が避けられない状況の中で、可能な限りの規模拡大、管理技術の 向上、牛自体の能力の向上(出荷月齢の短縮化)等により目標年度までに年間出 荷頭数ですう勢値に対して10パーセントの増産を図ることとした。 表2 肉用牛の出荷頭数等の目標の概要 3 飼料作物 自給飼料の増産については、近年は作付面積・収穫量とも減少しているが、飼 料自給率の向上・家畜排せつ物の有効活用・みどり豊かな景観づくり等の観点か ら、水田等遊休農地の活用、飼料作付面積の拡大等を強力に推進して、表3「飼 料作物生産量等の目標の概要」に示したとおり、目標年度までにすう勢値に対し て50パーセントの増産を図り平成元年水準までの復帰を目指すこととした。 表3 飼料作物生産量等の概要 4 集送乳の合理化 集送乳の現状においては、集乳路線の錯そう、集乳車の稼働率、経費の低減等 の課題がある。今後は、酪農組織を県域的に再編整備して機能強化するとともに、 クラーステーションを適正に集約・配置して集乳の一元化を推進する。 併せて、送乳についても集約化を基本とした合理化を推進していく。 5 乳業施設の合理化 県内の乳業施設においては、今後は、施設の規模を見直し、立地の適正化およ び稼働率の向上等により合理化と処理コストの低減を推進し、製造過程において はHACCP手法の導入を促進する。 具体的には関係者の合意形成を基本として、施設(工場)間の連携と機能の集 約化等により再編も含めた合理化を推進する。 6 家畜市場の再編整備 県内において肉用牛を取引する家畜市場は、現状1ヵ所に整備されており、今 後は、家畜市場機能の強化を図り、公正な家畜取引・適正な価格形成・効率的な 家畜取引を推進する。 7 食肉処理加工施設の再編整備 食肉処理加工施設は、現在7ヵ所であるが千葉県食肉流通合理化計画に基づき 再編整備を促進し、肉畜主生産地にある施設を基幹施設及び補完施設に位置付け、 県産食肉の品質有利性を確保するためにHACCP手法に準ずる高度な処理品質管理 手法の普及を図る。 さらに、基幹施設では一元集荷・多元販売の機能をもたせて、生産・流通・加 工・販売までの一貫した産地体制を形成するとともに、県産食肉のブランド化を 推進する。