企画情報部 情報第一課
「畜産の情報 国内編」では「鶏卵の卸売価格(東京・M)」を巻末資料64ペ ージに掲載している。今回はこの鶏卵の卸売価格について解説する。
鶏卵の流通経路を図に示す。全農の鶏卵センターなど、鶏卵市場等を経由する のが主流である。 鶏卵市場(鶏卵荷受機関)には、JA全農の鶏卵センター(東京、横浜、名古屋、 福岡)と民間の鶏卵荷受会社である東洋鶏卵、東京鶏卵、神奈川鶏卵、大阪鶏卵 などがある。前者を全農系、後者を商系と呼んでいる。
日々生産されている鶏卵の価格は、肉や魚、野菜のように市場などで見受けら れる実際の取引商品を前にしたセリで価格が決まるという仕組みとは異なる。各 地にある鶏卵市場(鶏卵荷受機関)が、それぞれの市場の需給動向をみて発表す る相場(卵価)を基準にして、「小売・加工業者」と、「生産・集荷業者」の間 で取引が行われる。 荷受機関が卸売価格を決定する要因は次の点が挙げられる。 @前日の売れ行き A在庫の有無 B当日の入荷状況 C消費者の購買状況および荷動き D天候、季節その他 これらを総合的に勘案し、手持ち数量がその日に売り切れることを前提にして 価格は決定される。 ◇図:鶏卵の流通経路◇ 資料:農林水産省統計情報部「鶏卵流通機構調査報告」
そして、各荷受機関ごとに、サイズ別に価格を設定して午前9時にテレホンサ ービス、インターネット等を通じて一斉に公表される。 この価格は日本経済新聞(朝刊)に掲載されている(商品相場のページの「荷 受市場」欄で見ることができる(殻付1キログラム当たりの価格))。なお、取 り引きは土・日曜日、祝祭日を除いて行われているため、日・月曜日および祝祭 日の翌日を除いた毎日掲載されている。
農林水産省統計情報部は、鶏卵市況情報を公表している。これは各地の鶏卵市 場(鶏卵荷受会社(札幌1社、東京3社、名古屋2社、大阪2社および福岡1社)) から聞き取り、取りまとめたもので、「畜産物流通統計月報」に掲載されている ほか、全国生鮮食料品流通情報センターを通じて、FAXサービス等で日々提供さ れている。 情報の内容は以下のとおり 1.主要都市の鶏卵市場における入荷量 (「入荷量」は、鶏卵市場に産地の生産者、集出荷団体および集出荷業者等か ら入荷したもの) 2.市場別、鶏卵規格別(LL,L,M,MS,S,SS)1キログラム当たり卸売価 格(高値、中値、安値) (ここでいう卸売価格は、前述の卵価に相当する。) 事業団では、この鶏卵市況情報から、東京・全農系・M・中値の月次データを 畜産の情報に掲載し、また、畜産物市況週報では、さらにくわしく、月次データ を掲載している。
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