◎地域便り


宮城県酪農・肉用牛生産近代化計画について

宮城県/産業経済部畜産課


 宮城県は「酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律」(昭和29年法律第182号)
第2条の三に基づき、平成13年3月21日付けで22年度を目標年度とする「宮城県
酪農・肉用牛生産近代化計画書」(以下「計画書」という。)を策定した。以下
計画書の概要を紹介する。

1 計画の視点

(1)酪農および肉用牛生産は、土地利用型農業の基軸であるという基本を確認
  し、耕種経営および地域の農業関係者との連携を一層推進するとともに、県
  および市町村が必要な施策を講じる。

(2)酪農は、自給飼料の活用、家畜排せつ物の適切な処理と利用のために必要
  な飼料基盤を確保し、省力的な飼養管理方式の導入と生産・経営管理技術の
  高度化による乳量・乳質の向上等により、ゆとりのある生産性の高い経営の
  実現に努める。

(3)肉用牛は、繁殖基盤の維持・拡大を図るとともに、「仙台牛」や「宮城野
  和牛」の高品質牛肉の生産と乳用種等の値ごろ感のある牛肉の生産を図りつ
  つ、意欲ある肉用牛生産担い手による経営の安定を図る。

(4)集乳及び乳業の合理化については、集送乳の合理化、乳質の改善、生乳取
  引方法の改善、乳業の合理化を図るとともに消費拡大を推進する。

(5)肉用牛及び牛肉の流通については、家畜市場の再編整備と機能の高度化、
  地域内一貫生産の推進、食肉処理施設の再編整備を推進する。

2 酪農および肉用牛生産の近代化に関する方針

 本県の酪農および肉用牛生産は、飼養頭数は酪農が全国第9位、肉用牛が全国
第7位となっており、畜産主産県としての位置を確立している。また、食生活の
中で不足しがちなカルシウム、鉄分や良質な動物性たんぱく質等の供給、生産活
動を通じた県土、環境の保全維持という本来的な役割に加え、体験・交流等を通
じた豊かな人間性の育成といった役割をも担いながら、農業の基幹部門として農
業生産上大きなウエイトを占めている。

 一方、近年の酪農および肉用牛経営においては、消費者サイドからは安全で衛
生的な畜産物の生産が求められるとともに、生産サイドにおいては穀物飼料への
過度の依存、労働加重、家畜排せつ物の不適切な管理による環境問題、さらに従
事者の高齢化、担い手不足による生産基盤の弱体化等さまざまな問題が顕在化し
ている。

 このような状況の下、本県畜産がこれらの課題をクリアし、将来にわたってそ
の役割を引き続き果たしていくためには酪農および肉用牛生産は土地利用型農業
の基軸であるという本来の意義を再確認し、「土、草、牛」という生産要素のバ
ランスがとれた酪農経営および肉用牛経営を確立することが重要である。また、
個々の経営体の主体的な生産努力を基本にしつつ、耕種経営および地域の農業関
係者との連携を一層推進するとともに、県および市町村が必要な施策を講じるこ
とが重要である。

 さらに、生産者と消費者を結びつける重要な役割を果たしている処理・加工、
流通および販売部門が相互の連携を一層強め、消費者ニーズに応じた安全で衛生
的な牛乳・乳製品および牛肉の生産・供給を推進する必要がある。

 酪農においては、新たな生産者補給金制度の下で、計画生産等の的確な実施に
よる需給の安定を基本にしつつ、自給飼料の活用、家畜排せつ物の適切な処理と
利用のために必要な飼料基盤の確保を基本に、省力的な飼養管理方式の導入によ
る労働時間の短縮、生産・経営管理技術の高度化による乳量・乳質の向上等を図
り、ゆとりある生産性の高い経営の高い経営の実現に努める。

 肉用牛においては、肉用子牛生産者補給金制度の適切な運営を基本に、肉用牛
繁殖資源の維持・拡大を図るとともに、「仙台牛」や「宮城野和牛」の高品質牛
肉の生産および酪農経営から供給される乳用種等の肉資源の有効利用による値ご
ろ感のある牛肉の生産を図りつつ、意欲ある肉用牛生産担い手による経営の安定
を確保する。

 集乳・乳業の合理化については、県内酪農団体合併と広域流通の進展を踏まえ
た集送乳の合理化、余剰生乳の適切な処理を図るとともに、県産牛乳の消費の拡
大を推進していく。

 肉用牛および牛肉の流通・加工については、家畜流通の広域化と適切な価格形
成を図るために整備した「みやぎ総合家畜市場」の一層の機能強化を進めるとと
もに、食肉処理施設の再編整備、部分肉流通の促進と円滑化を推進する。


3 県計画の概要

(1)22年度における目標頭数等
@生乳の生産数及び乳牛の飼養頭数の目標−宮城県全区域−


A肉用牛の飼養頭数の目標−宮城県全区域−(単位:頭)


(2)22年度における経営指標 宮城県全区域


(3)酪肉近代化のための主な事項

@飼料自給率向上−宮城県全区域−(単位:%)
A飼料供給計画−宮城県全区域−


B飼料基盤の造成整備計画−宮城県全区域−(単位:ha)


C集乳および乳業の合理化

 集乳路線を147路線→100路線程度に合理化
 クーラーステーションを10ヵ所→3ヵ所に統合
 乳業工場を10工場→6〜7向上に統廃合

D乳質の改善


E牛肉流通の合理化

 家畜市場を10市場→2市場に再編
 食肉処理加工施設を5ヵ所→3ヵ所に再編


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