◎地域便り


山田市畜産会有機農業センターにおける環境保全への取り組み

福岡県/山下 克之


 農事組合法人山田市畜産会有機農業センタ−は、福岡県の中央部に位置し、農
業、中でも畜産の盛んな山田市内の畜産農家(酪農家3戸、肥育牛農家3戸)で
構成され、家畜排せつ物の処理を行うとともに、畜産農家と耕種農家の連携を密
にし、地域の有機農業推進の核となる事業活動を行うために設立された。

  基幹施設である家畜排せつ物処理施設等については、平成11年度に国の補助事
業である環境保全型畜産確立対策事業により、たい肥舎(2,000平方メートル)、
製品庫(800平方メートル)の整備のほか、製品の流通促進のためと省力的に作
業可能な自動袋詰め装置の設置と併せ、たい肥運搬車やたい肥散布機などの導入
も行っている。

 たい肥舎は、乳牛230頭、肥育牛600頭分の家畜排せつ物量と水分調整材を含め、
年間約9,500トンの処理能力を有している。処理過程としては、まずたい肥舎内
の発酵槽で通気を行いながら30日間発酵90日間たい積発酵させている。堆積発酵
中は、6戸が交代で切り返しを行い、袋詰め等が行われた製品は地域の耕種農家
等へ「ミネラルたい肥」として販売するとともに、残りを自給飼料の生産や耕種
農家との稲わら交換に利用している。

 また、国のソフト事業を活用しながら、たい肥施用による実証展示ほの整備、
たい肥の分析等を行うとともに、「ミネラルたい肥」を紹介したパンフレットを
作成するなどして、たい肥の流通促進に努めている。

 この他にもたい肥のPRのため、山田市で開催される「つつじまつり」や「かか
しまつり」、また、嘉飯山乳牛フェスティバルなどへも積極的に参加し、一般市
民向けにたい肥の無料配布を行うなど、大変喜ばれている。

 16年度から、「家畜排せつ物の管理の適正化および利用の促進に関する法律」
に基づく家畜排せつ物の管理の適正化が強まるため、畜産農家は家畜排せつ物処
理施設の整備等により、いっそう環境保全に努めることとなるが、出来た製品の
流通促進も重要であり、耕種農家と畜産農家の連携を強化する必要がある。この
ことから、山田市畜産会有機農業センタ−の取り組みは注目を集めているところ
である。
【たい肥センターの内部】

    
【地域催し会場でのたい肥無料配布】

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