総合食料局 消費生活課 宮瀬 良江
農林水産省では、食料品消費モニターを全国に配置し(全国の主要都市に在住 する主婦1,021名)、食料品の規格、品質、表示および価格動向、食生活、食料 品に関する消費者意向等食料品消費等に関するテーマについてのアンケート調査 をして、その調査結果を食料品の品質の確保、表示の適正化、食品流通の改善、 食料消費の改善等のための各種行政施策に反映させることとしている。 12年度第2回調査(12年9月実施)は、「外食・中食の動向について」および 「食生活指針について」をテーマに「外食・中食の動向について」は、外食・中 食に対する消費者の意識、利用実態等を調査し、「食生活指針について」は、12 年3月に策定された食生活指針実践度、意識等を調査した。調査方法は、質問用 紙をモニターに送付し、回答を記入後、返送してもらう方法で、1,021名のモニ ターに送付し、1,020名の方から回答をいただいた。(回答率99.9%)この調査 結果を5月28日に公表したので、今回は外食・中食の動向についての概要を紹介 する。
外食について 1 外食の頻度(回数) この1年間に、どのぐらいの頻度で、家族と外食をするか聞いたところ、「月 に1〜2回」とする人が最も多く43.8%、次いで「2〜3カ月に1回位」、「週に 1回位」がそれぞれ21.2%、18.4%となっている。 年代別に見ると、30代以下の若い世代で外食の頻度が高く、40代で最も少なく なるが、50代から60歳以上になると再び回数が増加している。(図1) ◇図1:外食の頻度(回数)◇ 外食の頻度の経年変化を見ると、「2〜3カ月に1回位」、「半年に1回位」、 「年に1回位」は減少傾向、「月に1〜2回」、「週に1回位」、「週に2〜3 回」は増加傾向にある。(図2) ◇図2:外食の頻度の経年変化◇ 2 外食1回1人当たりの支出金額 家族で外食したときの1回当たりの支出金額を家族1人当たりに換算していく ら位か聞いたところ、「1,000円以上〜1,500円未満」とする人が最も多く34.7%、 次いで「500円以上〜1,000円未満」22.4%、「1,500円以上〜2,000円未満」16. 7%となっている。 年代別に見ると、30代を除くどの年代も「1,000円以上〜1,500円未満」とす る人が多く、特に60歳以上は43.2%と最も多い。30代は「500円以上〜1,000円 未満」とする人が37.1%と多くなっている。 平均食料費別に見ると、5万円未満の層は 「500円以上〜1,000円未満」とす る人が多く、15万円以上の層は「1,500円以上〜2,000円未満」とする人が多い。 (図3) ◇図3:1回外食1人当たりの支出金額◇ 外食1回1人当たりの支出金額の経年変化を見ると、「1,000円以上〜1,500 円未満」「500円以上〜1,000円未満」は増加傾向にあるが、「1,500円以上 〜2,0 00円未満」「2,000円以上〜3,000円未満」は減少傾向にある。(図4) ◇図4:外食1回1人当たりの支出金額◇ 3 外食回数の変化 2〜3年前と比べてこの1年間の家族の外食の回数はどうか聞いたところ、 「変わらない」を選ぶ人が最も多く42.4%、次いで「減った」32.6%、「増え た」24.8%となっている。 年代別に見ると、20代は「減った」を選ぶ人が多く41.5%、60歳以上は「変 わらない」を選ぶ人が多く53.1%となっている。「増えた」を選ぶ人は30代が 最も多く31.8%となっている。 4 外食をする理由(目的) 家族で外食をする理由(目的)は何か聞いたところ、「家庭で出来ないもの、 おいしいものを食べたいから」を選ぶ人が最も多く46.3%、次いで「買い物やレ ジャーで外出したいから」44.6%、「家族のお祝いごとのため」36.5%となっ ている。 年代別に見ると、20代から40代は「買い物やレジャーで外出したいから」が多 くそれぞれ58.5%、55.9%、42.7%となっており、40代から60歳以上は「家庭 で出来ないもの、おいしいものを食べたいから」が多くそれぞれ42.7%、59.5%、 52.1%となっている。 また、「買い物やレジャーで外出したいから」、「外食すること自体が楽しい し、好きだから」は年代の低い層ほど増加しており、「来客があったから」は年 代が高い層ほど増加している。 5 外食店でのメニューの表示希望事項 外食店でのメニューにどんな事項が記されていればよいか聞いたところ、「カ ロリー(エネルギー)」を希望している人が最も多く76.3%、次いで「栄養素 (たんぱく質、ビタミン等メニューに含まれている栄養素を表示)」、「原材料 名」がそれぞれ46.1%、43.8%となっている。 年代別に見ると、各年代とも「カロリー(エネルギー)」を希望する人が7割 越えている。また、「塩分量」を希望する人は、年代の高い層ほど増加傾向にあ る。(表1) 表1 外食店でのメニュー表示希望事項 6 外食をする際の希望する料理 外食をする時、どのような料理があったらいいか聞いたところ、「地域の産物 ・旬の食材を利用した料理」を希望する人が最も多く36.9%、次いで「有機野菜 利用料理等健康志向料理」「低カロリー料理」がそれぞれ15.6%、15.1%となっ ている。 年代別に見ると、「有機野菜利用料理等健康志向料理」を希望する人は年代の 若い層ほど増加傾向にある。 世帯別に見ると、当然のことながら、世帯構成が多様化するに従い希望する料 理も多様化する。 7 飲食店に希望するサービス サービス面で飲食店にどんなことを希望しているか聞いたところ、「店のクレ ンリネス(注)の向上」とする人が最も多く58.6%、次いで「従業員の接客態度 の向上」52.5%、「料理を注文してから食卓に出されるまでの時間の短縮」28. 0%となっている。 年代別に見ると、20、30代は「従業員の接客態度の向上」とする人が多く61. 5%、59.4%となっており、40、50、60歳以上の人は「店のクレンリネスの向上」 とする人が多くそれぞれ59.1%、69.7%、55.0%となっている。 8 今後の外食の機会(回数) 今後、家族で外食する機会をどのようにしたいか聞いたところ、「今のままで よい」とする人が最も多く74.1%、次いで「増やしたい」12.9%、「減らしたい」 8.1%となっている。 年代別に見ると、「減らしたい」とする人は20代が多く18.5%となっており、 年齢の低い層ほど高くなっており、「今のままでよい」とする人は60歳以上が多 く82.7%となっており、年齢の高い層ほど高くなっている。(図5) ◇図5:今後の外食の機会(回数)◇ 今後の外食の機会(回数)の経年変化を見ると、「減らしたい」が8年とくら べて増加している。(図6) ◇図6:今後の外食の機会(回数)の経年変化◇ (注)クレンリネスとは、飲食店運営における施設およびスタッフを含めた衛生 面での条件が良好に保たれていること 中食について [中食とは] 持ち帰り弁当、そう菜等そのまま食事として食べられる状態に調理されたもの を家などに持ち帰って利用するものを「中食」(なかしょく)と言う。 [中食の種類] 主食的調理食品 ○弁当類…弁当、おにぎり、寿司 (出前は除く)等 ○調理パン類…サンドイッチ、ハンバーガー、ピザ、中華まんじゅう (あんまんは除く)、ピロシキ等(菓子パンは除く) ○麺類…そば、うどん、中華麺、焼きそば、焼きうどん、スパゲッティー等 副食的調理食品 ○そう菜類…サラダ、煮物、焼き物、炒め物、あえ物、蒸し物、揚げ物 (ファストフード店で購入したフライドチキン等(持ち帰り)も含む。) *中食食品の範囲外のもの…保存性の比較的長い、そう菜類似品、漬物、佃煮類、 くん製、海産物乾燥品、なめみそ、調理冷凍食品、調理食品の缶詰、レトルト 食品、カップ麺等 1 中食の購入頻度 中食をどの程度の頻度で購入しているか中食の種類ごとに聞いたところ、どの 中食も「月に1回以下」が最も多く、次いで麺類を除く中食では「月に2〜3回」、 麺類では「購入したことがない」となっている。(図7) ◇図7:中食の購入頻度◇ 各種類ごとの中食の経年変化を見ると、弁当類は「購入したことがない」が減 少傾向にある。(図8) ◇図8:中食の頻度の経年変化(弁当類)◇ 調理パン類は「月に1回以下」が減少傾向にあり、「週に1回」、「月に2〜 3回」は増加傾向にある。(図9) ◇図9:中食の頻度の経年変化(調理パン類)◇ 麺類は「週に1回」、「月に2〜3回」が減少傾向にあり、「月に1回以下」、 「購入したことがない」は増加傾向にある。(図10) ◇図10:中食の変化の経年変化(麺類)◇ そう菜類は、「月に1回以下」、「購入したことがない」が減少傾向にあり、 「月に2〜3回」、「週に1回」、「週に2〜3回」は増加傾向にある。(図11) ◇図11:中食の頻度の経年変化(そう菜類)◇ 2 中食1回当たりの購入金額 中食の1回当たりの購入金額はいくら位か中食の種類ごとに聞いたところ、弁 当類・麺類・そう菜類は「300円〜500円未満」、調理パン類は「300円未満」と する人が多くそれぞれ約3割強となっている。(図12) ◇図12:中食1回当たりの購入金額◇ 各種類ごとの中食1回当たりの購入金額の経年変化を見ると、弁当類では「500 円〜700円未満」、「700円〜1,000円未満」、「1,500円以上」、「300円未満」 が減少傾向にあり、「300円〜500円未満」、「1,000円〜1,500円未満」は増加 傾向にある。(図13) ◇図13:中食1回当たりの購入金額の経年変化(弁当類)◇ 調理パン類は「300円未満」が増加傾向にあり、その他の各項目は減少傾向に ある。(図14) ◇図14:中食1回当たりの購入金額の経年変化(調理パン類)◇ 麺類はどの項目も余り変化がみられない。(図15) ◇図15:中食1回当たりの購入金額の経年変化(麺類)◇ そう菜類は「500円〜700円未満」、「700円〜1,000円未満」、「1,000円〜1, 500円未満」、「1,500円以上」が減少傾向にあり、「300円〜500円未満」、「3 00円未満」は増加傾向にある。(図16) ◇図16:中食1回当たりの購入金額の経年変化(そう菜類)◇ 3 中食の利用機会 どのような時にどのような中食を利用しているか聞いたところ、「朝食」では 調理パン類の利用機会が最も多く26.0%、「昼食」では弁当類が最も多く77.6%、 「夕食」ではそう菜類が最も多く74.8%、「間食」では調理パン類が最も多く17 .1%となっている。 4 中食の購入店舗 中食をどんなところで購入しているか中食の種類ごとに聞いたところ、どの中 食も「スーパー(生協を含む)」が最も多く約6割以上となっている。次いで弁 当類は「持ち帰り弁当屋」44.7%、調理パン類は「専門店」39.4%、麺類「コンビ ニエンスストアー」30.3%、そう菜類は「デパート」35.6%となっている。 5 中食を利用する主な理由 中食を利用する主な理由は何か中食の種類ごとに聞いたところ、どの中食も 「簡便だから」が最も多く約7割以上となっている。また「家族が好きだから」 を選ぶ人は調理パン類、麺類に多くそれぞれ43.3%、40.7%となっており、「い ろいろなものを少しずつ食べられるから」を選ぶ人は弁当類、そう菜類に多くそ れぞれ20.3%、42.2%となっている。 6 中食を購入する際に注意する項目 13年4月から弁当・そう菜類の原材料名等表示の義務付けが実施されること になったが、中食を購入する際に注意する項目は何か聞いたところ、どの中食も 「製造年月日(時間)」を注意する人が最も多く7割以上となっており、次いで 「消費期限(または賞味期限)」約6割となっている。また、そう菜類について は、「添加物」に注意する人も多く「消費期限(または賞味期限)」と同比率の 58.7%となっている。(表2) 表2 中食を購入する際に注意する項目
元のページに戻る