北海道/田中 義春
北海道東部置戸町の酪農家東さんは今年から、つなぎ牛舎のトンネル換気をし ている牛舎では珍しい細霧システムを導入した。東さんの牛舎は盆地で風通しが 極めて悪く、2年前の暑熱で熱射病が3頭ほど発生した。 しかも、乳量は激減、受胎が遅れる、など大きな影響をうけ「何とかしなけれ ば」と思ったという。そこで、平成12年トンネル換気6台を設置したが、十分な 効果が現れず、13年5月に細霧システムを導入した。 気温が25°Cを超えると、強制換気だけでなく、霧状になった水滴を牛の体を 中心に畜舎全体に噴霧する。実際に牛舎内の気温は2〜3°C下がり、湿気も気 にならなかった。牛は落ち着き、食い込みもよく乳量だけでなく、繁殖成績も良 好になった、と喜んでいる。 計画段階では周りの酪農家から「本当に本州並みのことをするのか」、「フリ ーストールならまだしもスタンチョンで水浸しにならないか…」とひやかされた、 という。 昨年までは、夏場は疾病が多発し、獣医師を緊急に呼ぶことが多かった。しか し、今年はまったくなかったため、獣医師がうわさを聞きつけて見学に来た、と 笑う。今年の北見地方は比較的涼しい日が続いているものの、東さんは細霧の効 果があると力説している。 北海道は2カ年続けて暑い夏になったため、各地でトンネル換気が急速に普及 した。しかし、つなぎ牛舎でトンネル換気をしている酪農家が細霧によって、温 度を低下させるという発想はなかった。今後、噴霧する温度、間隔や量を検討し て、湿気を防いで効率的な暑熱対策を目指している。 最近は暑熱対策だけでなく換気、牛床、飼槽、水槽の改善が積極的に行われ、 牛の快適性を追求する酪農家が増えてきた。
【北海道では珍しいつなぎトンネル 換気牛舎での細霧システム】 |