◎地域便り


トンネル牛舎で細霧システムを導入

北海道/田中 義春


 北海道東部置戸町の酪農家東さんは今年から、つなぎ牛舎のトンネル換気をし
ている牛舎では珍しい細霧システムを導入した。東さんの牛舎は盆地で風通しが
極めて悪く、2年前の暑熱で熱射病が3頭ほど発生した。

 しかも、乳量は激減、受胎が遅れる、など大きな影響をうけ「何とかしなけれ
ば」と思ったという。そこで、平成12年トンネル換気6台を設置したが、十分な
効果が現れず、13年5月に細霧システムを導入した。

 気温が25°Cを超えると、強制換気だけでなく、霧状になった水滴を牛の体を
中心に畜舎全体に噴霧する。実際に牛舎内の気温は2〜3°C下がり、湿気も気
にならなかった。牛は落ち着き、食い込みもよく乳量だけでなく、繁殖成績も良
好になった、と喜んでいる。

 計画段階では周りの酪農家から「本当に本州並みのことをするのか」、「フリ
ーストールならまだしもスタンチョンで水浸しにならないか…」とひやかされた、
という。

 昨年までは、夏場は疾病が多発し、獣医師を緊急に呼ぶことが多かった。しか
し、今年はまったくなかったため、獣医師がうわさを聞きつけて見学に来た、と
笑う。今年の北見地方は比較的涼しい日が続いているものの、東さんは細霧の効
果があると力説している。

 北海道は2カ年続けて暑い夏になったため、各地でトンネル換気が急速に普及
した。しかし、つなぎ牛舎でトンネル換気をしている酪農家が細霧によって、温
度を低下させるという発想はなかった。今後、噴霧する温度、間隔や量を検討し
て、湿気を防いで効率的な暑熱対策を目指している。

 最近は暑熱対策だけでなく換気、牛床、飼槽、水槽の改善が積極的に行われ、
牛の快適性を追求する酪農家が増えてきた。
【北海道では珍しいつなぎトンネル
換気牛舎での細霧システム】

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