埼玉県/片桐 紀生
埼玉県はワールドカップ会場で一躍有名になった「埼玉スタジアム」、百万都 市の「さいたま市」や「さいたま新都心」など首都圏の顔としてますます発展し ている。 農林業も急激な都市化の進展や若い住民の他県からの流入増加などで田畑や山 林が減少し、兼業化の進行や後継者不足、農業者の減少や環境問題など農林業を めぐる環境は著しく変化している。埼玉県での消費者向けの畜産イベントを施設 別に見ると、東秩父村の「彩の国ふれあい牧場」では、7月には手作りバター、 牛乳プリン、チーズ、アイスクリームの直売を土曜、日曜日を中心に延べ7日間 開催予定。また、鶴ヶ島市の県農業大学校では8月にオープンカレッジを開催。 わんぱく農業塾−親子で酪農体験−牛に触れてみようをテーマに30組の親子を募 集、酪農体験や、バター作り、牛クイズを企画している。変わったところでは東 松山市の「こども動物自然公園」のサマースクールの参加者を募集しているが 「乗馬体験、馬の手入れ」などのほか「搾乳体験、牛の世話」の希望者も募集し ている。 中でも、江南町にある県農林総合研究センター畜産支所(旧畜産試験場)では 意欲的に各種イベントを開催して消費者に畜産への理解を深めている。 同研究センター畜産支所では3年前、施設の一部を開放し、消費者に子牛や珍 しい鶏が見られる「ふれあい畜舎」、ラベンダーの丘、ハーブ園、研修、資料展 示館を整備しているが、特に畜産加工実習室での地元農産物を使ってのアイスク リーム実習や手作りソーセージ実習などが今年で3年目を迎え消費者に大好評だ。 地元の果実や野菜をアイスクリームミックスに5−20%添加することで、オリジ ナルアイスクリームの製造が可能で、県内の農産物の消費拡大と地域の新しい特 産物造りを狙いたいと農業関係者や消費者グループの体験実習を昨年は25団体が 行った。中には指導を受けた農家らがトウモロコシ、ユズ、ブルーベリー等を 「道の駅」などで地域特産物として販売しているケースもあるという。 取材日に開催されていた「手作りソーセージ作り体験教室」では抽選で選ばれ た男性の参加者は意外と簡単に造れる。これなら、自分にもオリジナルソーセー ジが作れると懇切丁寧な説明と実習に喜んでいた。また、初めて参加した主婦は、 安全安心の無添加ソーセージ作りを実費200円で実習して良かった、これからア イスクリーム作りにも参加したいと語っていた。県畜産支所ではこれら畜産加工 実習のほか研究センターの機能を生かして、今後、汚水の浄化と水質検査、乳牛 の飼育体験、生ゴミでたい肥作り、豚の飼育体験、鶏の卵の観察とお話など親子 で学べる畜産体験教室も開催予定である。
【ソーセージの作り方を説明して いる講師の小川主任研究員】 |
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【ソーセージ作りを体験する 消費者たち】 |