トピックス

●●●BSE法、7月4日施行●●●

 国内におけるBSE発生の予防とBSE感染経路を遮断する措置を定めることより、
安全な牛肉を安定的に供給する体制を確立することを目的とした、牛海綿状脳症
対策特別措置法(BSE法)が6月14日に公布され、7月4日施行された。BSE法のポイ
ントは、@農林水産省および厚生労働省は、BSE対応措置に関する基本計画を作成
する A牛の肉骨粉を原料等とする飼料の使用の禁止等 B農林水産省令で定め
る月齢(24ヵ月齢)以上の死亡牛は都道府県知事に届出し、検査は2003年度から
義務化 Cと畜場におけるBSEに係る検査等  D牛への耳標装着、生産履歴の情報
提供義務化 E生産、流通、販売関係者への経営安定措置の導入である。

 附則部分による措置として、既存法の一部改正があった(表1)。


表1 「牛海綿状脳症対策特別措置法」(附則部分)による措置

1)BSEについてのサーベイランスの徹底
 【家畜伝染病予防法の一部改正】
  

2)飼料の適正使用の徹底および製造業者等の規制の見直し
 【飼料安全法の一部改正】
  

3)感染経路の解明に必要な措置
 【飼料安全法および獣医師法の一部改正】
  

4)厚生労働省との連携の強化
 【飼料安全法および家畜伝染病予防法の一部改正】
  

5)BSEの法律上の名称の変更
 【家畜伝染病予防法の一部改正】
  


●●●乳用めす牛の出荷滞留頭数、減少傾向に転じる●●●

 農林水産省が発表した「乳用種廃用牛のと畜場の受け入れ・処理状況について」
によると、BSEの影響による出荷繰り延べから発生した乳用めす牛の滞留頭数は昨
年の10月から増加し続けていたが、3月をピークに頭打ちとなり、4月には2,000頭
減少の56,000頭と初めて減少傾向に転じた(図1)。

 国内のBSEが確認されたのが、すべて乳用めす牛だったことから、乳用めす牛の
と畜頭数の回復が一番遅れていたが、4月になって前年比を上回った。一方、乳用
めす牛の出荷滞留の影響は枝肉重量の推移に見ることができる。乳用めす牛の枝
肉重量は、前年比を10%以上増加したのは、昨年の12月から3月までで、4ヵ月間連
続し、4月、5月もかなりの程度増加してきたが、わずかに増加の程度が小さくな
りつつある(図2)。そして、と畜頭数の前年比と生産量の前年比の差は3月の9.
5%をピークに減少傾向に転じた。

図1 乳用めす牛の滞留頭数(全国推計)の推移
図2 乳用めす牛の枝肉重量、生産量、と畜頭数(前年比)


●●●豚肉消費依然好調。とりわけ輸入品が増加傾向●●●

 豚肉卸売価格(東京・省令)を見るとBSEの代替需要や食肉表示問題からかなり
の高値相場が続いていたが、6月は1キログラム当たり577円(7.2%)と先月より1
キログラム当たり10円値を下げた。国産品の相場は、3〜5月はおよそ2割高であっ
たものが6月に入ると1割弱高とその勢いは衰えたが相場は依然として高い。

 総務省の家計調査報告によれば、6月の1世帯当たりの豚肉の消費量は1,412グラ
ム(8.9%)、全国1人当たりでは444グラム(10.2%)となっている。1世帯当た
り、全国1人当たり、ともに豚肉消費量は昨年の10月以降ほぼ前年同月比の10%増
で推移しており、引き続き豚肉の消費は好調であると言える(図3)。

 しかし、当事業団での小売動向調査(POS調査:レジ通過人数1,000人当たりの
購入数量)を見ると輸入豚肉の購入量は増加傾向にあり、6月は1,000人当たり10
.9キログラム(77.5%)と大幅な増加となっている(図4)。長期的な国産品の高
値相場の影響から、価格の安い輸入品にシフトしつつある様子がうかがえる。

図3 1世帯当たりの家計消費量の推移(豚肉、前年同月比)
図4 POS調査による豚肉購入量の推移(国産、輸入別)


●●●平成13年食鳥処理羽数および処理量は前年並み●●●

 農林水産省が公表した「平成13年食鳥処理場調査結果の概要」によると、13年
にブロイラーを処理した処理場数は208ヵ所(前年は218ヵ所)で処理羽数は567,
876千羽(▲0.2%)、出荷生体重量は1,554,596トン(0.2%)となった。その結
果、1羽当たりの生体重量は、2.74キログラム(0.5%)となり、12年に一時増加
傾向に歯止めがかかったものの再び増加に転じた。

 一方、出荷戸数を見ると、3,385戸(▲3.3%)と前年をやや下回り、戸数の減
少が続いている反面、1戸当たりの出荷羽数は167.8千羽(3.3%)と増加傾向が続
いている。

 その他の肉用鶏(地鶏等)を処理した処理場数は141ヵ所(前年139ヵ所)、処
理羽数は8,196千羽(1.9%)、出荷生体重量は24,820トン(4.0%)となった。主
産地としては福島、徳島、兵庫、宮崎の順となっており、前年とは1位に変化はな
かったものの2位以下は順位が入れ替わった。(図 5、6)

図5 ブロイラーの出荷戸数および羽数の推移
図6 その他の肉用鶏(地鶏等)の出荷羽数


●●●平成13年度指定乳製品TE輸入、7割増加●●●

 13年度に関税相当量(TE)を支払い輸入された指定乳製品等は303件667.1トン
で、前年に比べ件数では6件、数量では273.2トン、比率にして69.3%と大幅に増
加した。

 内訳をみると、粉乳類が433.5トン(対前年増減比117.1%)と全体の約65%を占
め、次にバター類131.5トン(同24.4%)が全体の約20%を占めている。れん乳類
50.5トン(同15.9%)、バターミルクパウダー8.6トン(同869.9%)と続き、ホ
エイ関連のみが43.0トン(同▲2.4%)と唯一減少した(図7)。

 乳製品関税化後から免疫ミルクの輸入が大半を占めていた粉乳類は、13年度に
オーガニック粉乳(オーガニックヨーグルトなどに使用)および泡立ちコーヒー
用粉乳等が業務用として輸入されるようになった。このことが粉乳類の輸入量を
2.17倍と急増させ、TE輸入の約65%を占めるようになったとみられる。

 れん乳類は「ミルクジャム」の原料アイテムとして定着してきた。バター類は
フランスのみならず、デンマーク、オーストラリア、ニュージーランドなどのバ
ターも輸入されるようになり、輸入食材のアイテムはますます増えてきた。

図7  TE輸入による指定乳製品輸入量


●●●東京の鶏卵価格、主要海外4都市に比べ低水準●●●

 農林水産省が公表した「東京および海外主要5都市における食料品の小売価格調
査(平成13年11月調査)」によると、各海外主要5都市の一般小売店舗で販売され
ている肉類、乳卵類、野菜類などを中心とする「共通食品」で比較を行った食料
総合の価格は、ジュネーブ以外は東京の6〜9割程度の水準となっている。鶏卵に
ついては、ニューヨーク以外の4都市では引き続き東京より1〜5割程度高い価格と
なっている。

 わが国の鶏卵業は、企業的な経営が進み、施設等の充実から工業的な生産が行
われており、土地集約制が比較的高いことなどから、他の食品や牛肉、豚肉、牛
乳に比べ依然として低い価格水準となっている(図8)。

図8  海外主要5都市における食料品の小売価格比(東京を100として・平成13年11月)


●●●7〜9月期配合飼料価格、約600円引き下げ●●●

 全農は、平成14年7〜9月期配合飼料供給価格について14年4月〜6月価格に対し
全国全畜種総平均トン当たり約600円の値下げを決定した(6/21)。専門農協系お
よび商系もそれぞれ引き下げが行われる見込み。

<最近の原料コスト動向等>

@ とうもろこしのシカゴ相場は、長雨による大幅な作付けの遅れや生育不良か
  ら価格が上昇し、米国農務省の需給見通しでは、総需要は史上最高で期末在庫
  の減少が予測されている。また、アルゼンチン産穀物の生産量減少と経済混乱
  による輸出の減少等により、今後は強含みの相場展開が予測されている。
  
A 副原料の大豆かす価格は、米国では大豆の作付けの遅れから上昇している。
  日本国内の需要は旺盛で、国産大豆粕の生産は増えており、需給バランスは保
  たれて推移する予想であること、為替が円高傾向に推移していることから、弱
  含みの見通しとなっている。
  
B 魚粉価格は、需給が落ち着き始め弱含みに推移する見通しである。

C 為替レートは、円高に推移するものと見込まれる。

<補てんの実施>

 配合飼料価格安定制度による通常価格差補てん金は300円/トン交付される。

図9  副原料の輸入価格(CIF)



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