北海道/山田 幸夫
真新しい敷きわらの上で、気持ち良さそうに寝そべる生まれて間もない子牛 たち。 また一方では、哺乳ロボットの乳頭から勢いよくミルクを飲む子牛たちの姿 が愛ら しい。こうした快適な環境下で育成管理される子牛たちはギガファー ムグループ(以下「GFグループ」という。)の将来を担う大切な後継牛だ。 「GFグループ」(代表兼松誠さん51歳)は、別海町中春別地域の酪農家6戸 で平成12年12月に組織化された。 「ギガ」には「努力すること限りなく、今生きることこの上なく、夢を持ち 続ける こと果てしなく」を信条に、地域の活性化 に取り組むという意気込 みを託している。 「地域が将来にわたって活気と潤いのある集落として発展するためには・・」 の課題に対して、多様化する経営体が不安なく営農が展開できる営農支援シス テムの一環として、営農展開上労働のしわ寄せを受けやすい哺育・育成分野の 支援を目的として誕生した。 6戸の構成員のうち、以前から育成技術に定評のあった兼松さんが、昨年6月 育成専門に転換し、キャトルステーションとして構成員が生産した雌子牛全頭 を一元管理する道内でも例のないシステムを立ち上げた。 預託牛の受入は、酪農家の手間のかかる生後3日目の朝から受胎確認の翌月 までとし(17カ月)、料金は23万円(消費税、 授精料、精液代別、ワクチン、 駆虫、除角、削蹄、疾病等にかかる費用込み)とした。 また、事故に対しては受入10日間の免責期間を設けたものの、それ以降の事 故に対しては5万円を補償するなど、責任の所在を明確化した。 預託を初めてから16カ月を経過し、預託延べ頭数は400頭を超え、この期間 の事故率は1%、受胎月齢は12.9カ月と預託前の平均16カ月を3カ月も短縮した この成績を可能にしている兼松さんの飼 養管理技術(哺乳日数:18日、1日 8リットルの満腹哺育等々)はもちろんだが、管内の獣医師も太鼓判を押すと いう敦子夫人の子牛に対する観察眼の鋭さと愛情の深さが、キャトルステーシ ョンの原動力となっている。 搾乳と育成牛の管理を分業化し専門特化する取り組みは始まったばかりだが、 哺育作業を担っている女性の労働や精神的疲労が軽減されたことや、高品質の 後継牛確保、 投資や労働の集中化により生乳出荷量の増加、繁殖成績の向上 等、分業化の成果が徐々に表れている。 高度な技術による分業化をよりどころに 経営の大小・経営形態の違いを超 えて経営発展に貢献していこうというGFグループの意欲的な取り組みに注目が 集まってい る。
【快適な環境のキャトル ステーション哺乳舎】 |
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【哺乳ロボットから ミルクを頂き!】 |