北海道/片桐 紀生
第5回全国山羊サミットINとかち清水(日本緬羊協会、全国山羊ネットワー ク、清水町山羊サミット実行委員会主催)が北海道の清水町で8月31日から開 催された。 会場の清水町文化センターには沖縄を始めとして23都道府県から山羊飼育 関係者250名が参加。講演会、実例発表会などが行われ山羊飼育を通じて乳肉 の利用や効果、飼育技術などの山羊の普及と振興策について意見交換が行われ た。 開催式では日本緬羊協会の豊田晋会長が「山羊サミットを機に参加者達が親 睦を深め、山羊に関するネットワークがさらに広がるように」と挨拶した。ま た、来賓の農林水産省生産局畜産技術課の藤岡課長補佐は「長野牧場で国内で 初めて確認された山羊関節炎・脳脊髄炎については人間に影響を与えず、感染 力も非常に弱いもので、冷静な対応を願いたい」と述べた。講演・事例発表で は独立行政法人家畜改良センター長野牧場の藤田業務課長がわが国における山 羊飼育の現状と今後の展開をテーマに、国内での2万頭の山羊飼養の現状を説 明し、「この2〜3年が正念場で新たな市場開発と地元での乳肉の消費を拡大す る必要があり、また農業や食品という分野に捉われることなく、教育、医療= アニマルセラピー、ペット等の異分野を開拓する必要がある」と講演した。ま た新潟県妙法育成牧場の今井明夫牧場長は学校教育における山羊飼養の意義と 題し、新潟県内の小学校での山羊を使った学校教育の実例をビデオで紹介しな がら「山羊は子供たちと等身大で親近感を持て、年間を通じて飼養することで ライフサイクルが理解できることから、飼育を希望する学校が増加する傾向に ある」と述べた。山羊農家の飼養事例発表ではランランファームの鶴我佐知さ んが清水町の山羊飼育の現状を報告した後、3人のパネリストとともに中西良 孝氏が座長で活発な討論が行われた。 終了後は農業生産法人ランランファームを現地視察した。同ファームは十勝 毎日新聞社の「十勝千年の森」構想の一端として設置されたもので、来春稼動 の山羊乳チーズ工房では山羊チーズやアイスクリーム等の製品開発に取り組ん でいる。また、ふれあいを中心とした観光体験牧場や教育ファームとして展開 し、道内初の本格的な山羊牧場として各方面の注目を浴びている。翌日は町内 で山羊のセリ市場が開催され、大部分は道内からの参加者に購買された。
(社)日本緬羊協会会長豊田氏 による挨拶 |
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