トピックス

牛肉卸売価格、低下傾向が続く

 10月18日からBSE全頭検査が開始された。検査の結果2頭目のBSE患畜が11月2
1日に確認され、3頭目のBSE患畜は12月2日に確認された。いずれも乳牛で2〜
3産した5歳の牛である。

 指定助成対象事業による牛肉の調整保管事業、牛肉在庫緊急対策事業を実施し、
卸売価格の回復に努めているが、枝肉の卸売価格の低下が続いている。省令価格
(東京・大阪)は11月初めに13年度安定上位価格1,010円を上回ったが、その後
低下を続けている。12月10日現在では、東京市場では、12月7日の311円/kg、
大阪市場では12月10日の375円/kgが最安値となった(図1)。
和牛についても同様で、BSE全頭検査後の11月初めの価格の回復の後、徐々にす
べての等級で値が下がる状況にある(図2)。

 これらの背景としては出荷繰延の解除の影響で、と畜頭数が増加しているのに
対し、消費が回復していないため、需要と供給のバランスが崩れていることにあ
る。特に東京市場については生体に加えて枝肉搬入が多いことも原因の1つであ
る。
◇図1:牛肉の卸売価格(東京、大阪、省令)◇
◇図2:牛肉の卸売価格(東京、和牛去勢)◇


豚肉卸売価格、高値相場続く

 豚肉卸売価格が、BSE発生による牛肉の消費不振からの代替需要により、例年
にない高値で推移している。11年度、12年度にはこの時期(11年12月〜12年2
月、12年10月〜13年1月)は、卸売価格の低迷から豚肉の調整保管を実施してい
たが、13年度は高値相場が続いている。

 東京食肉市場の省令卸売価格を見ると、10月上旬に600円/kg台に急騰した後、
一度それ以前の価格水準まで下がったものの、10月18日の396円/kgを底に再び
値を上げ、10月の省令平均価格は469円/kg(22.1%)となった。

 11月に入っても長引く牛肉不振からその勢いは衰えず、19日以降は500円台に
上昇し、前年同時期に比べ4割程高い価格で推移した。11月のと畜頭数は1,547,
700頭(2.1%)とわずかな増加があったにもかかわらず、省令平均価格は494円
/kg(36.1%)となった。

  12月に入っても500円台で推移を続け、14日は522円/kgと前年同時期の4割
近く高い価格で推移しており、高値は12月に入っても衰えていない(図3)。
◇図3:豚肉の卸売価格(東京・省令)◇


中国産、タイ産の鶏肉輸入が増加

 中国からの輸入は、6月8日の船積み分から一時停止され、8月7日に一部解
除となった。中国側が検疫システム、農場の管理システムに関し再構築を行った
ことから、9月には輸入は回復しなかったが、10月に入り冷蔵品が対前年同月比
133.9%増、冷凍品が14.6%増となった。しかし、11月以降は増加が望めない状
態となっている。まず、同国産の鶏肉から使用が禁止されている合成抗菌剤スル
ファノキサリンが検出されたことから、わが国は10月30日に食品衛生検査所での
検査規制を強化し、また11月4日、同国産の鶏肉からニューカッスル病ウイルス
が分離されたこと等からこのことを同国へ通知するとともに出荷農場およびその
周囲50キロメートル以内の地域からの家きん肉等のわが国への輸出を停止した。
また、米国においては、コネチカット州の養鶏場において家きんペストを疑う事
例(抗体陽性事例)が報告されたとして、11月9日より輸入を一時停止していた
が、ウイルスが分離されなかったことから11月22日に解除された。一方タイから
の輸入は13年当初から前年をかなり割り込んでおり、このまま年末を迎えると考
えられたが、8月(25.7%)、9月(44.5%)、10月(40.4%)と大幅な輸入
増となっている。(図4)
◇図4:鶏肉の国別輸入量の推移◇


若い世代を中心にカルシウム不足

 厚生労働省が公表した「平成12年国民栄養調査結果の概要」(速報)によると、
日本人1人1日当たりのカルシウム摂取量は547ミリグラムで昨年より28ミリグ
ラム減少、充足率(栄養素等摂取量/平均栄養所要量)も88%と6ポイント減少
し、依然として大幅に所要量を下回っている。
 一方、エネルギーはおおむね所要量を満たしており、カルシウムを除くたんぱ
く質、ビタミン類等の栄養素の摂取量も所要量を上回っている(図5)。
 カルシウムの所要量と充足率を、年齢階層別に見ると、男女とも所要量が最大
となる10歳代後半から40歳代にかけて不足が目立ち、特に20歳代の男性では充足
率が69%、同じく20歳代の女性では70%と大きく不足している。男女とも60歳代
以上の方が充足している傾向にある。(図6)。
◇図5:栄養素等の充足率(平均栄養所要量を100%とした場合)◇
◇図6:性・年齢階層別カルシウム所要量と充足率◇


ドレッシング類原料卵使用量、増加傾向

 JAS法ではドレッシング類のうちマヨネーズを半固体状ドレッシングとして区
分しており、原材料は卵黄または全卵、食用植物油脂、食酢、調味料、香辛料等
で油脂分65%以上と規定されている。このマヨネーズとドレッシング類の生産、
消費量を見てみよう。

 まず、総務省「家計調査報告」によるマヨネーズ・ドレッシングの家計消費量
を見ると、12年度までは1,475g/人(4.9%)と順調に伸び続けていたが、13年
度累計(4〜10月)では910.7g/人(0.8%)と前年同期とほぼ同水準となって
おり、消費の伸びは鈍化してきている(図7)。

 次に、農林水産省  総合食料局  食品産業振興課の資料によると、平成12年
度のマヨネーズ生産量は238,479トン(▲3.2%)とわずかに減少した。13年度
累計(4〜10月)では、142,277トン(1.1%)と前年同期に比べわずかに増加
した。これらと液状ドレッシング等と合わせたドレッシング類全体では、12年
度は382,245トン(2.6%)、13年度累計では233,517トン(3.3%)と増加傾向
にある(図8)。

 マヨネーズを含むドレッシング類の原料卵の消費量は、12年度は71,754トン
(2.6%)と11年度に引き続き増加。13年度累計(4〜10月)も、45,359トン
(6.4%)と引き続き増加傾向で推移している。
◇図7:マヨネーズ及び液状ドレッシング等の生産量◇
◇図8:マヨネーズ・ドレッシング(全国1人当たり)◇

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