企画情報部 情報第一課
当事業団では、牛乳・乳製品等の消費動向を的確に把握するため、社団法人食 品需給研究センターに委託して「牛乳等の小売価格および牛乳・乳製品等の消費 動向調査」を毎年実施している。ここでは、13年度に実施した調査の概要を紹介 したい。 なお、文中( )内の数字は、前年度からの増減を示す。(調査方法、用語の 説明等については、文末参照)
購入状況 13年度に4回の小売価格調査を実施した結果、牛乳等購入世帯延べ3,991世帯の うち「牛乳」を購入した世帯は88.0%(前年度87.3%)であった。以下、「低脂 肪乳」が16.3%(前年度19.1%)、「乳飲料」が15.9%(前年度16.3%)、「濃 厚加工乳」が3.2%(前年度3.0%)となっている(複数回答)。なお、牛乳を購 入した世帯で1,000ミリリットル紙容器入りを購入したのは91.1%(前年度92.2 %)を占めており、消費者が購入するのは1,000ミリリットル紙容器入りが主流 となっている。 購入先 1世帯・1週間当たりの飲用牛乳(牛乳および加工乳)の購入量を購入先別で見 ると、「量販店」が73.7%(前年度73.3%)と最も高く、次いで、「集団購入」 が13.9%(前年度14.8%)、「CVS」(コンビニエンスストア)が5.4%(前年度 5.2%)、「家庭配達」が5.1%(前年度5.1%)等の順となっている。 ◇図1:牛乳等の種類別購入世帯割合(複数回答)◇ ◇図2:飲用牛乳の購入先別購入量の構成比◇ 購入数量 1世帯・1日当たりの飲用牛乳の平均購入数量は488.9ミリリットル(前年度511 .1ミリリットル)で、内訳は「牛乳」が87.5%(前年度85.7%)、「低脂肪乳」 が10.9%(前年度12.7%)、「濃厚加工乳」が1.6%(前年度1.6%)となってい る。
種類別購入価格 「牛乳」が186.11円(前年度188.66円)、「低脂肪乳」が150.26円(前年度15 4.40円)、「濃厚加工乳」が232.42円(前年度245.52円)、「機能強化タイプ乳 飲料」は180.72円(前年度184.52円)となっている。すべての種類で前年度に比 べ価格が低下している。 過去10年間の価格の推移を見ると、概ね低下していることがわかる。 牛乳の購入先別購入価格 家庭配達が237.83円(前年度234.72円)で最も高く、次いで集団購入が204.56 円(前年度205.56円)、CVSが200.59円(前年度205.10)、量販店の179.84円(1 83.12円)となっている。購入先による価格差が顕著となっている。 ◇図3:飲用牛乳の種類別購入数量構成比◇ ◇図4:牛乳等(1,000ml紙容器)の種類別購入価格の推移◇ ◇図5:1,000ml牛乳の購入先別価格◇ 牛乳の購入価格帯分布 最も多いのは「201〜210円」が18.9%(前年度20.6%)、次いで「151〜160円 」が14.3%(前年度11.9%)、「181〜190円」が13.9%(前年度15.6%)等とな っている。価格帯の分布にばらつきがみられるが、前年度との比較では180円以 下が相対的に高くなっている。 ◇図6:1,000ml牛乳の購入価格帯分布◇
購入基準(複数回答) 牛乳の購入基準は「日付」が79.8%で最も高く、次いで「価格」が48.7%、「 銘柄」が33.0%等の順になっており、この3つが他を大きく上回っている。 低脂肪乳および濃厚加工乳でも同様な結果となっているが、低脂肪乳は「価格 」を購入基準とするものが牛乳、濃厚加工乳に比べて高い。 今後の消費動向 牛乳では「今のまま」が86.8%を占め、「増やしたい」が12.1%、「減らした い」が1.0%。低脂肪乳では「今のまま」が88.0%、「増やしたい」が9.9%、「 減らしたい」が2.1%。濃厚加工乳では「今のまま」が87.4%、「減らしたい」 が6.9%、「増やしたい」が5.7%となっている。牛乳と低脂肪乳では「増やした い」が「減らしたい」を上回っているのに対して濃厚加工乳では「減らしたい」 が「増やしたい」を上回っている。 ◇図7:飲用牛乳の購入基準(複数回答)◇ ◇図8:飲用牛乳の今後の消費動向◇
購入頻度 乳飲料は「週2〜3回」が25.2%で最も高く、次いで「週1回位」が14.3%、「 月に数回」が11.0%、「月に数回以下」が10.9%、「ほぼ毎日」が5.1%となっ ている。また、「ほとんど購入しない」が33.5%となっている。 機能強化タイプ(栄養強化および乳糖分解タイプ)乳飲料の今後の消費意向 機能強化タイプの今後の消費意向については、「今のまま」が87.4%を占め、 「増やしたい」が8.2%、「減らしたい」が1.0%となっている。また、「わから ない」が3.4%であった。
購入頻度 「週1回位」(32.4%)、「週2〜3回」(27.2%)、「月に数回」(16.0%)、 「月に数回以下」(10.9%)、「ほぼ毎日」(5.5%)の順になっている。また、 「ほとんど購入しない」世帯は8.0%であった。 今後の消費意向 「今のまま」が70.7〜87.2%を占めている。どの種類においても「増やしたい 」が「減らしたい」を上回っており、特に、プレーンタイプでは「増やしたい」 が17.3%と他の種類と比較して高く、「減らしたい」はわずか0.9%であった。 フローズンタイプは「わからない」が22.0%と他の種類と傾向が異なる。 ◇図9:乳飲料の購入頻度◇ ◇図10:機能強化タイプ乳飲料の今後の消費意向◇ ◇図11:はっ酵乳の購入頻度◇ ◇図12:はっ酵乳の今後の消費意向◇
購入頻度 ナチュラルチーズでは「月に数回以下」が36.7%で最も高く、次いで「月に数 回」が30.3%、「週1回位」が10.3%等の順になっている。「ほとんど購入しな い」は19.8%であった。 プロセスチーズでは「月に数回以下」が37.2%で最も高く、次いで「月に数回 」の33.1%、「週1回位」の12.2%等の順であった。また、ほとんど購入しない は13.5%で、ナチュラルチーズと類似した傾向であるが、購入頻度ではプロセス チーズがやや高い。 消費形態 ナチュラルチーズでは「料理用」「おつまみ用」「パン食用」「ピザ用」の順 で、プロセスチーズでは「パン食用」「おつまみ用」「料理用」「おやつ用」と なっており、ナチュラルチーズとプロセスチーズは用途がかなり異なる。 主に利用するチーズの種類 利用頻度の高い順に見ると、ナチュラルチーズでは、「パルメザン」(62.6% )、次いで「カマンベール」(60.1%)、「シュレッド」(49.0%)等となって いる。プロセスチーズでは、「とろけるスライスタイプ」(68.6%)、「箱入り タイプ」(52.1%)、「ポーションタイプ」(48.4%)等となっている。 ◇図13:チーズの購入頻度◇ ◇図14:チーズの主な利用方法(上位4つ、複数回答)◇ ◇図15:主に利用するチーズの種類(上位5つ、複数回答)◇ 今後の消費意向 ナチュラルチーズでは「今のまま」が83.3%を占め、「増やしたい」が13.1% で、「減らしたい」が0.2%とわずかであった。 プロセスチーズでは「今のまま」が88.9%を占め、「増やしたい」が7.2%、 「減らしたい」が0.2%とわずかであった。今後の消費意向はナチュラルチーズ の方が強い。 ◇図16:チーズの今後の消費意向◇
購入動向 「野菜ジュース」「緑茶」「牛乳類」「ウーロン茶」「スポーツドリンク」「 ミネラルウォーター」等はおおむね増加傾向となっている。逆に、「炭酸飲料」 「果汁飲料」「し好タイプ乳飲料」「豆乳」「紅茶」等は減少傾向となっており、 品目間に格差がみられる。 今後の購入意向 「牛乳類」「野菜ジュース」「飲むヨーグルト等」はおおむね増加傾向。「炭 酸飲料」「果汁飲料」「し好タイプ乳飲料」「コーヒー」「麦茶」「紅茶」「ウ ーロン茶」「スポーツドリンク」等はおおむね減少傾向の見通しとなっている。 ◇図17:飲料の最近の購入動向◇ ◇図18:飲料の今後の購入意向◇ [調査方法等] (1)調査対象 札幌、東京、名古屋、大阪および福岡の5地区のそれぞれ200世帯、計1,000世 帯とした。 (2)調査事項 @牛乳等の小売価格実態調査−4半期に1回、年4回実施 牛乳等(牛乳、加工乳、乳飲料)に関する種類別の小売価格、購入数量、購 入方法等 A牛乳・乳製品等の消費動向調査−年1回実施 ・牛乳、加工乳、乳飲料に関する種類別の購入状況および今後の消費意向等 ・牛乳の料理における利用状況 ・乳製品等(はっ酵乳、チーズ、飲料)の購入状況および今後の消費意向等 (3)調査方法 調査員が調査票を調査対象世帯へ配布し、1週間留置き記入後、回収 (4)牛乳等の区分 「LL牛乳」(ロングライフミルク)は、「牛乳」および「加工乳」のうち常温 流通できるもの。 「低温殺菌牛乳」は、低温殺菌法(62〜65℃に30分間保持する方法)による牛乳。 (5)購入先 「家庭配達」とは牛乳販売店による宅配、「量販店」とは百貨店、スーパーマ ーケット、生活協同組合等の店舗のことであり、「集団購入」とは生協等による 共同購入をいう。なお、学校給食牛乳、職場での飲用等は原則として含めない。 「その他」にはパン屋、八百屋、自然食品店、移動販売車、自動販売機等が含ま れる。 (6)購入価格 購入価格は消費税込みとした。 お問合せ先 農畜産業振興事業団 企画情報部 情報第一課 担当: 深 澤 電話:03−3583−8545 FAX:03−3584−1246 *報告書をご希望の方は、FAXでお申し込みください。ただし、部数に限りがあ ります。
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