長野県/農政部畜産課
BSE(牛海綿状脳症)の発生を契機に、消費者の食の安全性への関心が高まる とともに、「生産者の顔が見える」農畜産物が求められるようになった。 そこで、長野県内の生産者団体や消費者団体、食肉流通販売業者などで組織す る長野県食肉消費対策協議会(木藤直光会長)は、長野県の支援を受け、「農場 から食卓まで安心の贈り物」として、県産牛肉生産情報表示販売システム確立事 業に取り組んでいる。 この事業は、牛肉に対する消費者の信頼の確保と県産牛肉の消費拡大を図るこ とを目的に、単に「食肉検査済」だけでなく、長野県産牛肉の正確な情報を消費 者に提供する仕組みで、小売店などで売っている牛肉パックに牛1頭ごとの「安 心シール(個体確認シール)」が貼られ、そのシールに印字されている個体確認 番号と、店頭に掲示される「履歴書」で、牛肉の生産者などが分かるシステムで ある。 同協議会では平成13年11月16日から「安心シール」・「履歴書」の発行を始め た。 シール発行の手続きは次のとおりである。 @牛肉の卸売業者が、県の食肉検査を受けた枝肉に、品種、生産者、処理日等 を記入した「履歴書」を作成し、食肉検査合格通知書、サンプル(枝肉の一 部)、出荷計画を添付して、同協議会にシールの発行を申請する。 A同協議会では申請に基づいて個体確認番号を印字したシールを発行する。 B卸売業者は、牛肉とシール、履歴書を小売段階へ届ける。 C小売店では、このシールを店頭に並べる牛肉のパックに貼り、同時にその牛 肉の「履歴書」を表示する。 安心シールが貼られる牛肉は、長野県内で肥育された牛で、県内の食肉処理施 設で処理され、検査に合格になった牛肉に限定している。 また、同協議会ではシールの適正な使用を確保するため、随時、申請時の枝肉 サンプルと小売段階の牛肉をDNA検査で比較することにより、その同一性を確認 している。 平成13年度は、牛肉45サンプルのDNA検査を実施し、7サンプルで同一性が確認 されなかった。検査結果については、食肉の流通販売業者等に消費者を交え、公 開による検査結果検討会を開催し、消費者へより正確な情報を提供するための改 善を図っている。 消費者は、食肉について誰が生産し、いつどこで処理されたかがわかる「本シ ステム」の普及が図られることを期待している。