三重県/企画情報部
農業生産法人有限会社あのつ牧場は津市西部、伊勢自動車道・津インターチェ ンジの直ぐ近くに位置している。 80アールの広さの牧場に搾乳牛260頭が飼養されており、年間220万キログラム の生乳を出荷。1日3度の搾乳を始めるようになってから平均で10〜15%生産量が 上昇し、1頭当たりで年間8,500キログラムを維持している。 成牛のほとんどは北海道等から導入され、現時点で育成までは行っていない。 またヌレ子は年間230頭ほど出荷されているが、自動ほ乳システムを導入したこ とで一時に60頭程度までの飼育が可能になった。従って生後90日齢、体重60キロ グラムぐらいまで飼育期間を伸ばすことが検討されており、小遣いぐらいにしか ならないという位置付けから、経営に寄与する1部門としての確立が課題だ。 代表取締役の太田誠治さん(37歳)が継ぐまでの家業としての経営規模は40頭 余。「魅力は感じられなかった」。しかし現在牧場本体の置かれている場所、ま とまった規模の用地が手に入ると聞き、がぜんヤル気になった。サラリーマン生 活から転じて、ひたすら規模拡大に努め、平成8年からはフリーストール式の牛 舎2棟とミルキング・パーラーを配し、ふん尿処理、たい肥化等の施設も既に完 備している。 生乳は全量、四日市市内の酪農専門農協に仕向けられている。「正式組合員で はないが協力牧場の一員として参加している」のは牛乳や乳製品に対する同農協 の姿勢に「共感した」からである。Non・GMO飼料を使用するなどコスト面での難 題もあるが、「将来ともに酪農で生きていこうと決めた以上、その将来性に賭け てみよう」と踏み切った。 ふん尿処理からたい肥製造までを担うのは任意組合「WAプラント」である。近 隣の養豚家等と結成したもので、たい肥は「ミックス・パワー」として商標登録 も済ませている。耕種農家から稲わらを集荷する組織も結成されており、両者は 耕畜連携を確立し、耕種農家にはたい肥が供給されている。牧場とは別にこうし た組合、組織を作ったのは馴れ合いの弊を防ぐため。環境対策としてせっかくハ ード面で充実しても、要はソフト面がしっかりしないことには本業の足を引っ張 りかねない。 将来的には乳肉の複合経営を実現したい。自家内一貫となれば人員についても 拡大しなければならず、課題は多い。しかし「育成も、そして肥育も手掛けてこ そ、本当の牧場になれる」と意欲満々だ。
【ミルキング・パーラーでの 太田誠治さん】 |
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【牛舎の奥に見えるコンポスト】 |