◎地域便り


宮崎県 ●市営牧場の活用による畜産振興

宮崎県/山縣 正次


 小林市は、農業粗生産額の64%に当たる121億円を畜産が占めている。

 中でも、肉用牛飼養農家は1,200戸で23,000頭(和牛繁殖農家1,107戸、繁殖雌
牛7,800頭)が飼養されており、年間6,200頭の和牛子牛が生産されている。

 和牛繁殖農家および酪農家の経営安定を図るため、昭和46年に市営牧場が開設
されたが、肉用牛の市営牧場の活用については、不受胎牛と育成牛30頭ぐらいず
つ預かり、西諸県農業共済組合家畜診療所、人工授精師、こばやし農協、市が一
体となり、総合的な治療を施し、人工授精と育成を行ってきた。

 その結果、受胎率98%という成果が上がり、入牧希望者が増加して順番待ちの
状態になってきた。

 そこで、平成8年度、事業費4,500万円で100頭規模の和牛育成および不受胎牛
飼養管理施設を建設し、常時70頭(育成牛35頭、不受胎牛35頭)の入牧を実施し
て農家の要望に応えてきた。その結果、規模拡大が進むと同時に小林市全体の飼
養頭数も増加してきている。

 また、元年には受精卵移植推進協議会を設立して、酪農家および和牛繁殖農家
を対象に、受精卵移植事業に取り組んでいる。

 当初は、補助事業で受精卵処理用機材、器具を購入して、市単独でドナー牛(
乳牛2頭和牛2頭)を導入して西諸県農業共済組合家畜診療所の獣医師の協力によ
り診療所において、採卵を実施していたが、13年度、事業費9,600万円を投じて、
市営牧場内に受精卵処理およびドナー牛飼養管理施設(受精卵センター)を建設
した。

 受精卵センター運営については、小林市受精卵移植推進協議会が事務局とな
り、小林市、こばやし農協、西諸県農業共済組合家畜診療所で運営委員会を組織
して事業を進め、施設管理およびドナー牛管理は市営牧場管理規則に準じて、市
で対応し、採卵移植処理等は西諸県農業共済組合家畜診療所の獣医師で行い、移
植の一部は移植師で実施して農家の要望に応えている。

 また、牧場では、酪農家の乳用牛の育成も常時60頭ずつ入牧を行って好評を得
ているが、13年のBSEの確認で乳牛の廃用牛が、と畜できずに農家に滞留して経
営を圧迫していたので、今年、2月に一時集約管理施設を牧場内に設置して、現
在、81頭の廃用牛を無償で預り農家の支援を実施している。

 なお、当市では、広く、市民の方々にも畜産を理解していただくために、敷地
内に「ふれあい広場」としてグランドゴルフ場を設置したところであるが、今後、
さらに市営牧場を活用することにより「畜産の町こばやし」としての畜産振興を
図っていく。

市営牧場の概要
敷地面積 38ha(うち牧草地35ha)
施  設 
1.乳牛育成飼養管理施設(昭和46年設置)741m2
2.和牛育成及び不受胎牛飼養管理施設(平成8年度設置)985m2
3.受精卵処理及びドナー牛飼養管理施設(平成13年度設置)652m2
4.ふん尿処理施設(平成13年度設置)140m2
5.ふれあい広場(平成13年度設置)
6.廃用牛一時集約管理施設(平成13年度設置)2,500m2
機  械 
  草地管理機械、ショベルローダー2台、2トンダンプトラック、ジープ軽トラッ
  ク、家畜輸送車
管理人 3名



【ETセンター】

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